NPO通信No.197

【NPO法人関連ニュースから:5月号】

「NPO法人がつくる民間初の災害医療船」

東日本大震災や熊本地震など国内外の被災地で救援活動に取り組んできたNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(広島県)が、中古船を改装して「災害医療船」をつくり、出港準備が整いました。このような医療を主目的とした船は民間初となり、陸路が寸断された被災地や離島への医療支援の拠点とし、物資輸送にも活用しようという構想です。
医療船の構想は、東日本大震災を機に生まれました。広範囲に壊滅的な被害を受けた直後の被災地では、活動に使う車の給油すらままならず、救援チームが活動する拠点を確保するのにも苦労したといいます。船は、香川県観音寺市で離島連絡船「いぶき」として使われていたものを昨年780万円で購入しました。全長34メートル、137トンの船内を改装し、血液や尿の検査ができる機器を配備し、有事にはX線や超音波を使う可搬型の検査機器も持ち込みました。手術や高度医療を施すまでの設備はありませんが、「街の診療所レベル」の機器を備え、ピースウィンズ・ジャパンの医師らが診察や治療にあたります。障害者ら「災害弱者」の船内への受け入れも想定しており、新型コロナウイルス感染症の影響で支援活動が制限された昨年7月の九州の豪雨災害の経験も踏まえ、災害ボランティアのPCR検査をする態勢も整えました。
(5月17日 朝日新聞社)

 

「孤独受け止める24時間チャット相談」

 「眠れない」「寂しい」「苦しい」「死にたい」「助けてください」……。
漠然とした不安や死にたい気持ちにとらわれた若者、育児や職場環境に悩む働き盛り世代、そして病気を抱えるシニア層──、老若男女のSOSを24時間365日、チャットの相談窓口で受け止めるのが、2020年3月に設立されたNPO法人「あなたのいばしょ」です。
2020年の自殺者数は2万1081人と、11年ぶりに増加に転じました。特に深刻なのが若年層で、小中高生では前年比160人増の499人と、過去最多を記録し、若者たちの命がけの訴えに、日々向き合っています。「あなたのいばしょ」の特徴は、相談に応じるだけでなくチャットを言語処理技術で解析し、相談者の属性や年代別に、自殺の背景を明らかにしようと試みている点です。チャットに出てくる単語を世代別に分かりやすく示した「ワードマップ」も作成し、10代では「親」「学校」「クラス」「先生」、20代なら「お金」「精神」「就職」などの言葉が目立ち、30代〜40代では夫婦関係、シニア層は「心の病気」に関する言葉が増えるといいます。そしてもう一つの特徴は、国内のみならず海外13カ国にも相談員を配置し、24時間相談に応じられる体制をつくったことです。自殺予防を目的とした電話相談窓口の多くは、相談員の確保が難しいことなどから、深夜帯はクローズしてしまいます。しかし厚生労働省の2020年の統計によると、最も自殺者数が多い時間帯は深夜0〜2時(不詳を除く)で、深夜から早朝にかけての相談対応が課題でした。 18歳の女性は、漠然とした寂しさ、死にたいという気持ちを抱えて涙が止まらなくなった4月のある夜、ネット検索で「あなたのいばしょ」を探し当てました。チャットを送ってから15分ほどで「いばしょカウンセラー」と呼ばれる相談員から応答があり、「眠れない」などの女性の悩みを相談員が一緒に真剣に考え、女性の涙は止まりました。「電話で話すよりチャットの方がゆっくり考えられるし、文字にすることで頭が整理できる。24時間相談できるのもいいなと思いました」と女性は話します。
(5月18日 BUSINESS INSIDER JAPAN)

 

「NPO法人と地元企業のコラボで人口減少解決へ」

 伊豆市修善寺の賃貸住宅とオフィスが一体となった街区「ドットツリー修善寺」が今春、開設6年目に入りました。これまで5年間は12棟全てでほぼ満室が続き、入居者同士の日常的なコミュニケーションから事業連携も生まれました。人口減少解決の移住促進拠点として、地元の建設資材会社とNPO法人「NPOサプライズ」(伊豆市修善寺)の共同企画で、約2300平方メートルの土地に約15平方メートルの小規模オフィス付き2LDK住宅12棟を2016年3月に完成しました。入居者同士の競合を避けようと、1業種1社の入居に限定し、現在はエステやIT、建築などさまざまな分野の事業者が活動しています。コロナ禍以前から県内外問わず注目され、これまでに不動産や金融、行政など250件以上の視察を受け入れました。当初は企画を疑問視する声もありましたが、コロナ禍で注目が集まるリモートワークの「住みながら働く生活」の先駆けになったと、理事長は振りかえります。
(5月17日 静岡新聞)


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)