NPO通信No.11
団塊世代とNPO
『下流社会』(三浦展著、光文社新書)という本が話題になっています。 人々の所得格差や学力格差が広がり、我が国社会の階層化が進んでいると言われていますが、 この本では我が国社会のこうした変化を、次のように分析しています。
1950年代までの日本はわずかな「上」とたくさんの「下」からなる階級社会だったが、 1950年代後半から1970年代前半にかけての高度成長によって、 「下」から「中」に上昇する人が増えた。しかし今、階層格差が広がり、 これまでの「中」が「下」に下降して、日本の社会は「中流社会」から「下流社会」に向かっていると。
この本の面白いところは、「下」を「下層」ではなく「下流」と名付けているところです。 下流というのは低所得でも下層のように食うや食わずの貧困と違い、DVDプレイヤーも持っていれば、 パソコンも持っている。しかし何かが足りない。それは「意欲」であると、この本の著者は言うのです。 コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて「人生への意欲」が低いのだと。
そして、この下流化の傾向が著しいのは現在の30代前半を中心とするいわゆる 「団塊ジュニア世代」だと分析しています。昭和22年から昭和24年を中心とする 第1次ベビーブームに生まれた約800万人の人たちを団塊の世代と呼びますが、 その団塊世代から生まれた子どもたちというわけです。
ところで、このジュニア世代もさることながら、その親である団塊世代にも実は 間近に大きな問題が迫っています。2007年から到来する大量の定年退職問題です。
定年によって会社を離れた団塊世代の人たちが、これからどのようにして老後を過ごしていくのか。 これはひとり団塊世代だけの問題ではなく、我が国社会全体の問題に波及してきます。 そこで注目を浴びているのがNPO法人です。すでに経済的余裕のあるシニア世代が NPO法人で事業を立ち上げたり、ボランティアとして活動したりしていますが、 今後団塊の世代が参加してくることによって事業が大きく活性化することが期待されるからです。
年明け早々の平成18年1月11日(水)に文京シビックセンターで開催する新春トークサロン 『団塊新現役世代−NPOに生きる』は、そうしたテーマをとりあげて、 今後の方向性を探ろうというものです。このNPO会計税務研究協会が 主催する初めてのイベントですので是非ご参加いただきたいと存じます。
(田中義幸)
新刊のお知らせ
『NPO法人のための法令通達集』(田中義幸編/税務経理協会)2,400円(税別)
「これまでNPO法人に関してはこのようなものがなく、編者自身が本書の刊行を最も待ち望んできました。 皆さまの必要にきっとかなうものと確信しています。」(「まえがき」より)