NPO通信No.16
歴史に残る結社になれるか
世界中で4,000万部も売れた『ダ・ヴィンチ・コード』が、トム・ハンクス主演の映画になってまもなく公開される。ダン・ブラウンの原作には、「シオン修道会」という秘密結社が登場した。1975年に発見された資料によると、ダ・ヴィンチだけでなく、ニュートン、ヴィクトル・ユゴー、ボッティチェリなども、この秘密結社の会員だったらしい。私が密かに愛読しているビッグコミック・オリジナル連載の『イリヤッド』は、アトランティス大陸をめぐる壮大な考古学劇画だが、これにも「山の老人」という秘密結社が出てきて作品に奥行きをかもし出している。
ヨーロッパの秘密結社というと、フリーメーソンが最もよく知られている。会員は600万人もいて、うちアメリカに400万人いる。アメリカ建国の父とされるフランクリンや初代大統領のワシントンがフリーメイソンで、アメリカの1ドル札にもフリーメイソンの印が印刷されていることは周知の事実である。ヨーロッパでは、モンテスキューやハイネ、ベートーベンやモーツアルトなどもフリーメイソンだった。こんなにもよく知られているフリーメイソンが、なぜ"秘密結社"とされているのか。加入するときの儀式が外部に公開されていないからだという。
ところで、古今東西の秘密結社や秘密でない結社を集めた『結社の世界史』と題する全5巻の本が、歴史の山川出版社から出版されている。これには、たとえばアメリカの「全米消費者連盟」やフランスの「国境なき医師団」なども結社の一つとして取り上げられている。中国の結社として挙げられているのは、義和団事件の「義和団」や「紅衛兵」、「法輪功」などである。日本の結社としては、「新撰組」や「全共闘」などが取り上げられている。このシリーズでは、人間は孤独では生きていけない動物として新石器時代から結社を作ったとしながら、結社とは「なんらかの共通の目的・関心をみたすために、一定の約束のもとに、基本的には平等の資格で、自発的に加入した成員によって運営される、生計を目的としない私的な集団」と定義している。
だとすると、NPO法人も間違いなくここに言う結社である。日本ではNPO法人である「国境なき医師団」が結社に取り上げられているところを見てもわかる。とはいえ、「国境なき医師団」の存在感はNPO法人の中でも別格と言わなければならない。同じ結社と言っても「新撰組」や「全共闘」が日本の歴史に深くその存在を刻み込んだように、日本のNPO法人が、一つでも歴史に記録されるほどの存在になることが、果たしてあるだろうか。
(田中義幸)