設立の背景
NPO通信No.18
公益法人会計基準の悪あがき

 公益法人会計基準というのをご存知だろうか。民法34条に基づいて設立される社団法人と財団法人からなる公益法人は、公益法人会計基準に従って決算書を作成することとなっている。この公益法人会計基準は、今年4月からこれまでの収支計算書を中心とする会計制度から、収支計算書をはずして「フロー式の正味財産増減計算書」を中心とする会計制度へ変更された。この大幅な変更に対処するため、多くの公益法人では会計ソフトの改訂や経理担当者の研修など、多大な経済的負担や事務負担を余儀なくされたのだった。
 ところが、この通常国会で「一般財団法人及び一般社団法人に関する法律」など“公益法人制度改革関連3法”が成立し、平成20年度からは、あっさり会社と同じ損益計算書、貸借対照表を作成することとなったことから、公益法人会計基準の改正をめぐる問題点があらためて浮き彫りとなった。すなわち、平成18年4月からの公益法人会計基準の改正は、ほんとに必要だったのかどうかということである。
 たしかに、公益法人の会計制度を変更するなら、一足飛びに平成20年度からの変更のときにすればいいので、平成18年4月からのわずか2年ばかりのために、国民経済上の多大な損失を生じさせてまで、中途半端な改正をする必要があったとはとうてい思われないのだ。それでは、なぜこんなことが行われたのか。
 原因は、総務省の愚かしい“縄張り意識”にあると私はにらんでいる。もともと公益法人行政は総務省の管轄だった。公益法人に対する批判が強まる中、総務省は公益法人に対する指導監督を強化して乗り切ろうというハラだった。ところが、内閣府に行政改革推進本部が置かれ、内閣府が行政改革の一環として公益法人改革を推進し始めた。内閣府の方は公益法人を行政から切り離して自由化しようという考え方だった。面白くない総務省は、公益法人改革の動きを無視して公益法人会計基準の改正を強行したのである。これに付き合わされた検討委員会もいい面の皮だが、まあ付き合ってしまったのだから笑われても仕方がない。その結果、結局はまた内閣府に出し抜かれて、どうやら二階に上ったもののハシゴをはずされた格好になってしまったというのが、今回の迷走劇の顛末のようである。もっとも、そんなことのために国民はとんだ不利益を被ったのだ。総務省は、いずれ「フロー式の正味財産増減計算書」を損益計算書とみなすという手当をすると言っているらしいが、最後の悪あがきにしか見えないところが、なんとも可笑しい。
                                                            (田中義幸)