宗教法人アカウンタント通信No.183〇葬儀社について〇葬儀社について お葬式と言えば、その全体のコーディネートする役割は当然のことながら、葬儀社が担います。 ただこの葬儀社について昨今、様々な風評がメディアやネットで聞かれるようになりました。先日の専門誌では以下のようなトラブルが僧侶の立場から挙げられました。 ・葬儀者が僧侶に相談なく通夜葬儀の日程を勝手に決めた(この日程でないと火葬場が空いてないと嘘を言ってきた)。 ・葬儀社の都合で平然とその会社が契約している僧侶への乗り換えを遺族に勧めた。 ・葬儀社がフリーランスの僧侶を勝手に手配して法名を授与し葬儀を執行した。 ・(火葬場からの戻り初七日でなく)葬儀の中での式中初七日を指示してきた。 その専門誌の調査によれば、僧侶の約3分の1が葬儀社の対応に疑問を抱いた経験があると語っています。筆者の場合、幸いにしてこのような経験はありません。 ただし、拙寺の檀家さんが母親を亡くされたときに「母の遺言だから」と葬儀社と話を進めて、火葬まで行ってしまったことがありました。 これはもちろん、葬儀社の対応としては「菩提寺の住職に許可を取って下さい」と当該ご遺族にお話をするべきでした。 また世間でしばしば話題になる「安い基本パッケージを提示して受注しておいて後からオプションを積み上げ、結果的に高額な葬儀費用になった」という話を、 事後に檀信徒さんからお聞きしたこともあります。こちらに関しては、檀信徒さんと葬儀社さんの間の話ですので僧侶として介入することは基本的にできません。 さて、ご遺族にとっては頻繁に経験されるわけではない「肉親とのお別れ」。丁寧に、適正な費用で行いたいものです。 では、よからぬ葬儀社を回避するためにはどうすればいいのか。菩提寺がある方にお勧めしたいのが、「葬儀社を決める前に菩提寺の住職に相談すること」です。 我々はほぼ毎月檀信徒さんのご不幸に接し、さまざまな葬儀社とお仕事をします。しっかりご遺族に寄り添う葬儀社を把握していますし、どの範囲のどれくらいの会葬者をお呼びするご葬儀であればどの葬儀社が得意としているのか、もわかっています。 昨今はほとんどが家族葬、あるいはごく近い方だけをお呼びするご葬儀ですが、そのような場合は近隣の「家族で小規模に葬儀社を営んでいるが実に丁寧に仕事をし、料金もリーズナブルである葬儀社」をご紹介します。 結果、檀信徒さんからは間違いなく感謝されます。 菩提寺の僧侶が何らかのよからぬバイアスを持って葬儀社を檀信徒さんに紹介することはあり得ません。寺と檀信徒さんとのお付き合いは未来永劫続くものだからです。 菩提寺をお持ちでない方につきましては、お元気なうちから複数社を訪問してご自身の目で対応を確認し、概算見積もりを取っておく(生前の相談で葬儀費用が割引になる場合もあります)、 また近隣の住民の方のご意見等も参考にして、ご不幸があってからあわてて葬儀社を決めることのなきよう、終活のひとつとして早めにお考えになることをお勧めします。 もちろん我々宗教者も葬儀社さんなどの隣接業種の方々への敬意を忘れず、互いに高めあって「すべてのご遺族によかったと思っていただけるご葬儀」を執り行っていきたいと思います。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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