宗教アカウンタント通信No.126〇減収〇減収 先日、令和2年度の宗教法人の決算(令和3年3月締め)をまとめました。驚くなかれ、 令和元年度から収入がきれいに半減しておりました。 特にご葬儀、ご法事などの際に申し受ける「法事収入」が6割減。宗教法人の財務基盤の 根幹を占める収入だけに、愕然とする事実を目の当たりにしました。 考えてみると、昨年度は緊急事態宣言の中で年度が始まり、世間が厳戒態勢を敷く中、 檀信徒さんのご葬儀にも呼ばれず(もちろん事前にご連絡はいただきました)、ご法事 はことごとくキャンセルとなり、当然のことながら新規の墓所購入の方もおられず、 筆者も自分の寺の住職としての仕事がほとんどない状態でした。4月はご法事がわずか 一件でした。 その分、お墓参りに来られる方にはこまめに声がけをし、短時間ながらコミュニケーシ ョンを取るよう心掛けてはおりましたが、当然のことながらそれらは収入に直結するも のではありません。 秋以降はご法事も少しずつ元のペースに戻り、永代供養墓の申し込みも数件いただき、 毎年檀信徒様から定額を申し受けている「墓地管理費」に関しても例年通りの収入を 確保させていただきましたが、年度としては大幅な減収となりました。 これらは主に、法事収入を中心とするいわゆる「非収益事業にあたる収入」ですが、 これとは別に「収益事業にあたる収入」も激減しました。拙寺の場合、石材店や仕出し 料理店からいただく紹介手数料がそれにあたるのですが、新規の一般墓購入の方がお られなかったので石材店からの手数料は0、法事の後の寺の大広間での会食も時節柄 ご遠慮いただいたので料理店からの手数料も年間で1件、数千円。それでも少額ながら 法人税、法人市民税・県民税の支払いは発生しましたので、例年通り先日、納税を行い ました。 今年度は今のところご法事は例年並みのお申し込みをいただいており、新規の墓所購入 の方もおられます。昨年度の落ち込みからはさすがに回復するものと思いますが、拙寺 のような都市部の中規模宗教法人の経営は決して盤石でもなんでもないことを身をもって 認識しましたので、資産をしっかりと維持していく「守りの経営」も意識して日常業務に あたりたいと思います。 もちろん、マネタイズの有無で宗教的業務を選択することはせず、檀信徒さん、あるいは 一般の方のお気持ちに寄り添える宗教者を志向し、幅広く人と交わり、多くの書籍に学び、 徳を積んでまいる所存です。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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