宗教法人アカウンタント通信No.135


〇新型コロナウイルス感染


〇新型コロナウイルス感染

不穏な国際情勢を見るにつけ、「宗教が人の心にもたらす安寧」なるものがいかに浅薄であるかを改めて感じ、ひとりの宗教者として無力感に苛まれています。

一日も早く、世界のすべての人に、穏やかに休める日が訪れますことを祈念申し上げます。

そんな中、私事で恐縮ですが、2月の上旬に新型コロナウイルスに感染しました。

月曜日昼過ぎに発熱と体のだるさを覚え、家族もほぼ同タイミングで体調不良となり、翌日朝に地元の病院の発熱外来でPCR検査を受けたところ家族全員で陽性判定、そこから自主療養に入りました。

保健所からの連絡を待つまでは病院で処方された解熱剤、炎症を防ぐ薬、咳を抑える薬等を服用していました。

熱は最高で38.5度。ほぼ風邪のような感覚でした。立ち上がれないようなしんどさはなかったです。ただ発熱2,3日後ころの喉の痛みがつらく、特に朝はバナナヨーグルトのような流動食しか喉が受け付けませんでした。

37度前後まで熱が引き、保健所からの連絡が来たのが木曜日、そこからは電話やメールで毎日体調確認が入り、金曜日にはのどの痛みもおさまり、パルスオキシメーターを保健所から届けていただき、体温と血中酸素濃度を計測してWebで報告。

平熱に戻って3日を経過してから保健所からの「療養解除」の指示があり、平常に戻りました。発熱から10日後のことでした。

その後も咳は残っており、咳止めは引き続き処方されていますが、ご法事などの業務は再開いたしました。

療養期間中に予定されていたご法事は延期していただき、ご葬儀は近隣の同じ宗派のご住職にお願いして、お務めいただきました。来客に関しても体調不良である旨伝えて、できるだけ電話でのやりとりとさせていただきました。各方面にご迷惑をおかけいたしました。

今回思ったことは、十分に健康管理に留意していても感染する可能性はあるということ。正直なところ、マスクを着用し手洗いを励行していれば感染はしないだろうと高をくくっていたところはありましたが、そういうものではなかったです。

また、症状が軽いとメディアで言われている今回のウイルスですが、一時にせよのどの痛みはきわめてつらいものがありました。

また療養解除の後も咳は残っておりますので、公共交通機関の利用に際してはできるだけ周囲の方との距離を取るよう努めております。

医師、保健所の対応はきわめて良好で、通常業務の忙しい中、丁寧に対応をしていただき、たいへん感謝しております。パルスオキシメーターを貸していただき血中酸素を測定できていたことも心の支えになりました。

また追加の薬の処方をいただく前提となった電話によるオンライン診療のシステムもたいへんありがたかったです。

食事に関しては冷凍食品の備蓄があったのとネットスーパーからの購入もできたので不安なくしのげました。また知人からは食料の支援もいただきました。

執筆の仕事は平常と変わりなくできましたし、夜は毎日のようにZOOMでの勉強会、交流会に参加していました。世間から隔絶されて寺に閉じ込もっているような感覚は皆無でした。

率直な感想を申し上げれば「つらい期間は短かったが、感染しないにこしたことはない」ということに尽きます。短期間で体調が回復し、抗体を獲得できたとはいうものの、周囲にご迷惑、ご心配をおかけした事実は消えません。

なお、年齢・性別や基礎疾患の有無によって症状は大幅に変わってきます。今回の筆者の経験もあくまで一例としてとらえ、医師や保健所の指示にしたがって行動して下さい。また万一に備え、食料の備蓄をしておくことをお勧めいたします。

死ぬる時節には、死ぬがよく候。

――良寛

「生に執着するな」

とは言うものの、人はそれぞれ、周囲との縁(つながり)の中で存在しており、この世において果たすべき役割、使命があります。

周囲の助けをいただきながら、筆者にできることを地道に続けてまいりたいと思います。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)