宗教法人アカウンタント通信No.141


〇一部宗教法人の問題について


〇一部宗教法人の問題について

最近、韓国に本拠を置くある宗教法人の問題ある活動がさかんにメディアで取りざたされております。

当該宗教法人に関しては、以前から霊感商法による物販や高額な布施の要求など問題が指摘されておりました。10年ほど前に社会問題化し、近年はその問題行動も沈静化したかと思われましたが、実際には件数は減ったとはいえ被害は発生しており、はからずも今回、元首相への銃撃というショッキングな出来事をきっかけとしてメディアが大きく取り上げるところとなりました。

伝えられているように「先祖が霊界で苦しみ続けている」「脱会したら地獄に落ちる」などの高圧的な物言いが教団から信者さんに行われていたとすれば大問題です。法律に基づき、教団が公正に裁かれることを希望します。

ご家族に当該宗教の信者さんがおられ、悩みを抱えている場合は、まずはご家族内で冷静に話し合う。埒が明かないようなら相談会等の窓口に連絡してみることなどをご検討ください。

しかしながら、信教の自由は憲法20条で国民に認められている権利です。端から見て「なんであの宗教を信じているのだろう」などと疑問を持っても、その印象をもって信者さんを直接攻撃することはあってはならないことだと思います。

筆者は仏教の僧侶で、どんな場所に行っても理解していただける宗派に所属している宗教者です。しかしながら我が国にはおよそ400の包括宗教法人(末端の寺院や教会などを束ねている組織)が存在します。

仏教系のみならず神道系、新宗教系の包括宗教法人も当然存在し、そのほとんどは宗教法人法に基づいた適正な宗教活動を行っています。筆者が存じ上げているある新宗教の信徒さんなどは、災害が起きるとまっさきに現場にかけつけ、献身的な支援活動を行っています。

人種や肌の色と同様、人は宗教によっても差別されてはならない。これは自明のことです。人ぞれぞれの個性を尊び、尊重する。それこそがダイバーシティ(多様性)社会の姿だと思います。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)