宗教法人アカウンタント通信No.148〇兵戈無用〇兵戈無用 ひょうがむよう。浄土三部経のひとつ『大無量寿経』に出てくる言葉です。意味は「武器も軍隊も要らない」。 悲しいかな、人類の歴史は争いと戦いの歴史でもあります。力の強い方が弱い方をねじ伏せ屈服させる、そんな愚かなやりとりが2000年以上の間繰り返されてきました。 先日のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は日本中を興奮させました。結果的に決勝戦で日本が米国を下し、3大会ぶりに世界一の座に着きました。昨今ともすれば停滞気味の我が国に興奮と活気をもたらしてくれたという意味では、素晴らしい結果であったと思います。 ところで、筆者がもっとも心を打たれたのが、優勝直後のグラウンドでの大谷翔平選手のこのコメントでした。 「日本だけじゃなくて、韓国もそうですし、台湾も中国その他の国ももっと野球を大好きになってもらえるように。その一歩として優勝できたことがよかったし、そうなってくれることを願ってます。」 死力を振り絞って戦いに勝ったその後に、彼はすぐ、「アジアの人たちに野球をもっと好きになってほしい」という言葉を出しているのです。 もちろん、競技である以上、勝利することを目指してトレーニングに励み試合に臨み、結果を出すことが求められるわけですが、それが到達点ではない。彼は、スポーツという媒体を通してすべての人たちが平和に、おだやかにスポーツやエンターテインメントを楽しめることを願っている。そのために自分ができることは、野球を通してアジアの人に興奮と喜びを届けることだ、そんなことを意識しているのだと思います。 ウクライナの戦火はいまだ止まず、心落ち着けない日々を過ごしておられる方が大勢います。宗教者としても、地球市民としても、いま、自分にできることはなにか、を絶えず自問し、必要に応じて行動に移してまいりたいと思います。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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