宗教法人アカウンタント通信No.151


〇雨漏りとハクビシン


〇雨漏りとハクビシン

先日の集中豪雨で、客殿(大広間)に隣接した6畳ほどの部屋に雨漏りが発生し、天井板が濡れ、一部が床に落ちました。平素はタオルや封筒、施本等の置き場所として利用している部屋で、落下した部分には何も置いていなかったため、けが人も出ず、天井板以外の被害は幸いにしてありませんでした。

築40年、平屋・木骨・瓦・モルタル塗りの物件でしたが、流石に経年劣化は進行しており、長年の風雨にさらされるうちにわずかに瓦に隙間ができたために生じた雨漏り、とのことでした。

今回大工さんに屋根に上ってもらい、詳しく天井裏を見てもらったのですが、その際「ハクビシンの糞がたくさん見つかりました」という報告を受けました。

ハクビシン。鼻から額にのびる白い筋、灰色がかった茶色い毛に覆われた長い胴と尻尾、短い手足が特徴の、体長1メートルほどの動物です。実は寺院の本堂や客殿のような築年の古い木造の建物とは相性が良く、全国のさまざまな寺院や古民家でその糞による悪臭や柱の傷、天井板の破損などの被害が報告されています。寺院経営の専門誌には毎月ハクビシン駆除サービスの広告が掲載されています。

拙寺は埼玉県南部の住宅地に所在し、とりたてて山奥にあるわけでもなく、近隣に森林もありません。鼠に侵入された過去はありますが、ハクビシンに関しては目撃情報も一切なかったため正直「ハクビシンには無縁だろう」と高をくくっていたところがありました。今回はからずも天井裏の点検で「ご縁があった」ことが発覚し、いささかの衝撃を受けています。

寺院に限った話ではありませんが、いかに精緻に建造しても家屋であればゆがみやほころびは出てきて、隙間も生じます。外敵の侵入も完全に排除することはできません。もちろんハクビシンも命あるものであり、いたずらに命を絶つという対処はできません。

敷地内はよいとして、建物の中にはもう二度と入ってこないように、大工さんや専門業者さんと相談しながら、対策を講じていきたいと思います。同時に建物のリスクマネジメント、経年劣化対策に関しても今一度検証しなくてはと感じました。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)