宗教法人アカウンタント通信No.165


〇能登半島物故者追悼


〇能登半島物故者追悼

8月の下旬に、同地区の僧侶らと連れ立って能登半島の先端、珠洲市を訪ね、1月の震災で亡くなられた方の冥福を祈り、一日も早い復旧を祈願してまいりました。

金沢に前泊し、早朝からマイクロバスで現地入りしました。道路はきれいに修復され素晴らしい走り心地で、いにしえの「ディスカバージャパン」という国内観光ブームを想起させるような気分でしたが、半島の先端に向かうにしたがってブルーシートに覆われた木造家屋や「休業中」の貼り紙が貼られた商店が増え、珠洲市内では道の両サイドに倒壊家屋が放置されているようなところもありました。

今回訪れた以外の寺院も車中から拝見したのですが、完全に本堂が全壊し、崩落した柱の中からご本尊が顔をのぞかせている状態で、言葉を失いました。

目的地の寺院に着き、震災で亡くなられた方をご供養する法要を行い、現場の御住職や檀信徒さんとの語らいを経て、夕刻には現地を後にしました。

現地で何よりも感じたのは、遠路訪れた我々に対する配慮も多少はあったのかもしれませんが、ご住職や檀信徒の皆様の笑顔と明るい表情でした。本堂は半壊、ご自宅が倒壊し仮設住宅に住まわれているお檀家さんもおられましたが 元気に前を向いておられました。 9月の伝統的なお祭りに向け「キリコ」と呼ばれる大きな山車を今年は出せるか 懸念しておられ、そのお祭りが地域の皆様の心の支えになっているということを強く感じました。被災の難を逃れた頑丈な倉庫の中に鎮座していた高さ16メートルのキリコ4体は、悠然と自らの出番を待っているかのようでした。

科学技術がどれだけ発展しても地震や台風などの天変地異を制御して、それらから完全に逃れられる術は発見できていないのが現状です。そのような状況の中で 昔も今も「神仏に祈り、自らや家族の安寧を願う」という人々の心持ちはいささかも 変わってないということを感じました。

現地の一日も早い復旧・復興と皆様方の心と体の安寧がもたらされ、そしていつまでも続くようにと願わずにはいられませんでした。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)