宗教法人アカウンタント通信No.168〇寺院と防犯〇寺院と防犯 「闇バイトによる強盗事件」が連日報道されています。 犯行グループは指示役、強盗の実行役、奪い取ったお金や貴金属の回収役などの役割に分かれており、集団で、しかしながらさほどのち密さを追求せずにいきなり居宅に押し入って住人を縛ったり殴ったりし、金品を強奪する。きわめて粗暴で悪辣な犯罪です。 現状、報じられているのは個人宅が中心になっていますが、寺院も侵入犯罪のリスクにさらされています。 まず、寺院の所在地はネット上で公開されています。ほとんどの寺院はWebサイトを開設しており、所在地や電話番号を公開しています。檀信徒さんや墓地購入を検討されている方に向けての施策ですので当然の対応ではありますが、個人情報がある意味公になっているとも言えます。 そしてその立地ですが、墓所や本堂を有している都合上、周辺の民家から多少離れたところに所在することが間々あります。加えて山門や参道入り口から庫裏(寺族の居住エリア)までの距離があったり、かつその通り道の両側が木々に覆われていて周辺からは見えずらかったり、といった、考えようによっては危険と思われる環境にあります。 実際、20年ほど前ですが、拙寺の近くの寺院も強盗に遭いました。平日の日中で、高齢の寺族の方がひとりでお留守番をされていたところを襲われたものです。 現在、多くの寺院は民間の警備システムを導入しており、施錠が破られて何者かが侵入して来た場合には直ちにサイレンが鳴り、警備員が駆けつけてくることになっています。 さまざまな方が来寺され、頻繁にドアチャイムが鳴る日中は通常、警備システムは稼働させていませんが警備会社から支給されている非常ボタンを常に携帯し、何かあったら鳴らせる準備はしています。 日常の防犯対策としては、本堂、居宅を含む複数の箇所の入り口に防犯カメラを設置する、うかつに玄関を開けずに、まずインターホンで来寺の方の顔と声を確認してからドアを開ける、といった対応になります。基本的には「檀信徒さんはもちろん、近隣の皆様に開かれた寺」というスタンスは重要ですし、悩みを抱える人々の駆け込み寺としての機能は維持したいので、悩ましい問題ではあります。 これから年の瀬に入ります。災いや犯罪が少なくなる世の中になることを、願ってやみません。 皆様よいお年をお迎えください。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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