宗教法人アカウンタント通信No.175〇何回忌まで?〇何回忌まで? 「何回忌まで?」この疑問文の主語(上の句)は通常「法事を行うのは」 というワードであることが一般的でした。ところが最近は別の上の句が 用いられることが増えてきています。今回はこの件についてご説明します。 昨今流行の兆しが見える、樹木葬、あるいは永代供養墓といった、 従来の個人墓と異なるいわゆる「カジュアルな墓所」について知っておいて いただきたいことがあります。霊園や寺院に設けられているこれらの墓所の大部分は、 一定の年数が経過すると、骨壺を取り出して、同じ墓所内の合葬墓に合刺し、 骨壺は石材店が処分する。そしてその区画はきれいに清掃されて再販され、 新しい御遺骨をお迎えする、そういったシステムになっています。この「一定の年数」が 実は「十三回忌」あるいは「七回忌」であることが多いのです。 従来からある個人墓の場合は、「カロート」と呼ばれる御遺骨を収めるスペースが 一杯になるまでご遺骨を受け入れ、一杯になったら、最も先に納骨された方の御遺骨を 墓所内の土のスペースに撒く。 そして新しい方のご遺骨を迎える、と言う形式が多いです。そしてカロートは通常、 四体から五体ほどのご遺骨を納められるようになっています。 つまり樹木葬や永代供養墓の場合、合祀されるまでの期間が一般の個人墓に比べて はるかに短いということになります。 これは何を意味するかというと、樹木葬や永代供養の墓所をお取りになり、 そちらにご両親などのご遺骨をお納めしても、6年(七回忌)あるいは 12年(十三回忌)のような比較的短い期間が経過すると、他の方と同じ合祀墓に合祀され、 お骨壺は処分されてしまうということです。そして合祀墓には 合祀された方のあお戒名や没年、行年などは彫刻されないことが一般的です。 想像してみていただきたいのですが、6年あるいは12年と言うのは意外に短い期間です。 故人を偲び一周忌三回忌などの法事を行っているうちに6年目はすぐにやってきます。 このことについて、基本的には石材店、あるいは墓地管理者の方から購入時に 説明があると思いますが、その説明を安易に聞いていたり、よく理解せずにうなずいて 契約をして、気がついたら故人が合祀されていた、ということもありえます。 (墓所によっては期間延長を認めたり、合葬墓近くの墓誌にお戒名等を 刻んだりしていますが、基本的にいずれも追加料金が発生します) もちろん、どのタイミングで合祀されることを許容するかはそれぞれの ご家庭の問題ですので、自由に決めていただいて構いません。しかしながら、 ある種の墓所の場合、比較的短い期間でご遺骨が取り出され合祀され、 お戒名が彫られる墓誌も存在しないことが多い、という事実は認識していただいた上で、 これらの墓所の購入を検討いただきたいと思います。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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