宗教法人アカウンタント通信No.177〇みんなでひきこもりラジオ〇みんなでひきこもりラジオ NHKラジオに「みんなでひきこもりラジオ」という番組があります。月に1度、午後8時から、NHKの男性アナウンサーがパーソナリティーとなり、静かなトーンでいわゆる「ひきこもり状態」にあるリスナーからのメッセージを淡々と紹介する。そんな内容の番組ですが、「ひきこもり」と言ういわばネガティブなワードがNHKで番組名として成立しており、しかもそのひきこもりの方たちがゆるやかに連帯をしている感触が伝わってきます。 毎回基本的には悲観的なベクトルで心に響くメッセージが読まれます。数ヶ月ぶりにお風呂に入った、生きていて楽しいと思ったことがない、人の多いところへ行くことができない、などなど。 アナウンサーはそれらのメッセージに対して基本的にコメントをせず、「メッセージありがとうございます」「聴いていただいているだけでありがたいです」そんな温かい言葉を返します。一方リスナーたちは、SNSを通してリアルタイムでそのメッセージに反応します。ただそれも否定的なコメントはせず「わかるよ、自分もそうです」のようなポジティブなコメントがほとんどです。 そんな中、先日読まれたメッセージは以下のようなものでした。 「お盆は、お正月と並んで、大勢の親戚に会う機会で、自分はそれが苦痛です」 このメッセージを聞いたときに強く胸を突かれました。筆者は平素、宗教者としての立場もあり、お盆やお彼岸の墓参りについては、「ご家族揃ってお越しください」と言うメッセージを発信しているのですが、考えてみると、そもそも家族や親せき間の関係が良好であると言う前提は、すべての方に通用するものではない。そんなことを改めて思い知らされました。 お墓の形状同様、人の生き方も、「家族」より「個」の時代になってきたのかもしれません。 これからは 「必ずしもご家族で皆さんでお墓参りにいらっしゃる必要はありません。それぞれのペースでいらしてください。叶わない時はお墓の方を向いて手を合わせていただくだけでも結構です」 そのようなトーンで働きかけていくことが必要なのではないか、そんなことを感じました。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
|