宗教アカウンタント通信No.60

○マイナンバー制度始まる


○マイナンバー制度始まる

 10月からマイナンバー制度が開始されました。住民票を有する全ての方に1人1つの番 号を付して、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」を 実現しようとする制度であり、まずは雇用保険と税務の手続きや管理に関して番号が使 用されるということで、まさに税理士先生方の御専門の分野であろうかと思います。宗 教法人、とりわけ寺院関係者の関心も極めて強く、CFP認定者・1級FP技能士の資格を保 有している筆者へも旧知の住職らから質問や相談が寄せられています。 先生方がご存知の通り、宗教法人においては、住職・寺庭・寺族をはじめ、すべての雇 用者や報酬に支払先から個人のマイナンバーを収集し、厳重に管理する、まずはこの点 をしっかりと守るよう務めることがなによりも肝要であると思います。一方法人の番号 については基本的にインターネット等で公開される予定ですが、そのことすら知らない 住職も多く、早くもメディアで話題になっている「マイナンバー商法」なるシステムや セキュリティ業者からの勧誘も今後宗教法人に対して増えることが予想されます。宗教 法人の人間はおしなべて税務にもITにも弱いので、先生方におかれましては、顧問先 の宗教法人に対してわかりやすく制度の概要と注意点をご説明いただくことをお願いい たします。

○今月の一言

「仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺せ(臨済録)」  正しいものの見方を持とうとするならば、決して周囲に惑わされてはいけない。仏の 教えと言えども、出逢うものを先入観なく、こだわりなく、ニュートラルな立場で受け 入れよ、というほどの意味でしょうか。「祖」は自分の祖先、肉親のことで、例えば父 母から受けた慈愛であっても、それは世界から、世間から受けた愛と受け止め、それを 返すのも、父母や子、孫にではなく、広く社会に返しなさい、ということになります。 真言宗の僧侶である筆者が常々檀信徒さんに説いている「南無有縁無縁一切精霊(縁の ある仏様、縁のない仏様、すべてをご供養する」という教えと通じるものがあるように 思います。あらゆる国や宗教の立場を超えて、すべての人々がフラットに語り合え、慈 しみあえる社会が実現すればと、切に願います。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)