宗教アカウンタント通信No.90○寺院とインターネット(1)〇寺院とインターネット(1) 遅きに失した感もありますが、筆者の寺院でも今春より正式にWebサイト を開設しました。開設にあたって制作会社と時間をかけて話し合ったことは、 目的として「墓所を購入していただく(=檀家さんになっていただく)こと」 と、「宗派の教義をわかりやすく広めること」のバランスでした。 制作会社は「サイトを見た方が墓所を購入していただく行動を起こしていただ くようにしたい」という思いを強く持っていたのですが、こちらとしてはその 思いを否定するわけではないものの、まずは拙寺の宗派である真言宗の教義を しっかり説明することを心がけたいと感じました。 結果的に墓所の案内も行いながらも、本尊ほかの諸仏や寺の沿革等もしっかり と説明し、一定の格式を維持したサイトを構築することができました。本堂内 も境内の景色もプロの手により実際より格調高く美しくサイトに表示され、交 通案内(拙寺へのアクセス)もきわめてわかりやすく記載され、満足度の高い サイトが出来上がりました。 宗教法人の目的は「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化 育成すること」(宗教法人法)です。つまり「我々の宗派の教義は〇〇です」 と広く知らせることこそが宗教法人、寺院の存在意義であり、そのためには「 作って公開して終わり」でなく、時流の話題と絡めて頻繁にコンテンツを更新 し、寺院のことを知ってもらう、住職の人となりを理解してもらう、そういっ た工夫が必要であると感じます。 寺院の催しの際に法話を行う際にも毎回痛感するのですが、教義のような情 緒的・感覚的な語りは一般的に檀信徒さんの反応が芳しくありません。サイト のコンテンツに関しても同じことがいえると思いますので、「愚直に、丁寧に 」を意識して更新にあたりたいと思っています。 加えてWebサイトは、実際に寺院にお見えになる方よりも多少年齢層の若 い方の目に触れることも想定し、たとえ話を織り交ぜ、必要に応じて写真やイ ラスト、動画等も利用して、わかりやすく説くことを心がけます。 開設から2か月を経過しましたが、すでにサイトをご覧いただいたと思われ る方のお問い合わせもあり、ご遺骨のお預かりなど具体的に、必要とされる方 のお役に立てた事例も出てきています。これまで拙寺と関係を持たなかった方 にも目を留めていただき、何がしかのご縁につながるような結果を生み出すサ イトにできればと思います。 Facebookやツイッター等のSNSの活用に関しては次回考えたいと 思います。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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