宗教アカウンタント通信No.91○寺院とインターネット(2)〇寺院とインターネット(2) 先日、ある寺院の住職が、素性を明らかにしているアカウントで、特定の国の人々を 誹謗中傷するツイートをツイッター上で行いました。攻撃的な語句やニュアンスで固め られた当該ツイートはそれを目にした方の批判的なコメントと合わせて瞬く間に広まり、 いわゆる炎上の状況を呈し、数日後にはその寺院が所属する宗派のトップが「このたび、 宗内寺院の一教師がインターネット上において差別的な発言をしていることが判明しま した。直ちに本人より事実を確認し、宗制宗規に基づき厳正に対応して参ります。この 事実に対して時宗として遺憾の意を表するとともに、名誉を傷つけられた方々に対し、 宗派を代表しお詫び申し上げます」という声明を出して謝罪する事態となりました。 この一件はインターネット全体ではなく、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・ サービス)で意見を表明することの危険性を十分に示しています。当該発言がもし、当 該寺院のWebサイトのみでなされていたら、今回ほどのスピードで問題が不特定多数 の知るところとなり、大騒ぎになるようなことにはならなかったと思われます。 一般的に、中小寺院のWebサイトのアクセス数は決して多くなく、常時ウォッチし ている人も皆無に近いので、問題発言もすぐには見つからない可能性のほうが大きかっ たためです。 もちろん、SNSに乗せなければ、あるいは匿名であれば何を言っても許されるとい うわけではありません。ネットは公の場であることを強く認識したうえで発言には重々 留意することは当然です。 言論の自由は保障されてしかるべきですが、特定の民族や人を傷つける発言など論外。 それと同時に、SNSは寺院のWebサイトの何百倍もの目によってリアルタイムで監視され ている、この事実もあわせて意識しておくべきです。 筆者は素性を明らかにしたツイッターのアカウントは保持しておりません。また、F acebookで寺院のページは持っておりますが、自らの宗派の教義を説明する目的 以外の発言は一切いたしません。 個人的には特定の思想や政党に阿ることなく、現実世界、ネットとも穏やかな気持ち でご縁のある方々と接し、お話しに耳を傾けながら、中道の精神をご説明してまいりた いと思います。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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