宗教アカウンタント通信No.95


〇最近のご相談


〇最近のご相談

 「Webサイトを見たのですが」と拙寺にお電話をかけてくる方が増えてき ました。その内容は千差万別で、こちらも勉強になります。主だったものをあ げます。

「ペット(げっ歯類)が亡くなりました。かわいそうなので供養をしてほしい のですが」 拙寺ではペットの墓所は設けておりませんし、ペットの供養も基本的には受け 付けておりません。

 しかしながら今回は相談者さんがかなり切羽詰まったご様子で涙ながらに訴 えておられましたので、本堂で特別にご供養をさせていただくことにしました。 もちろんお戒名はつけず、俗名でのご供養です。墓所に関してはよその寺院さ んに当たっていただくことにしました。

「経済的問題で墓所を購入することができないがいつまでも家にお骨を置いて おきたくない、どうすればよいだろうか」 多くの寺院では本堂内に納骨堂というロッカー型のご遺骨収容スペースがあり、 墓所を探している方のためにお骨の一時預かりを行っています。今回もさっそ くお預かりすることにしました。お骨は基本、土に還ることを前提としますの で、拙寺であれ他寺であれ霊園であれ、できるだけ早めに墓所を探していただ くに越したことはないのですが、皆様それぞれのご事情もありますので、急か すことはしません。福島県浪江町にお住まいになり、お父様を亡くされた後納 骨前に震災の被害に遭われ、拙寺の近くに避難してこられた方が持参されたご 遺骨もお預かりしています。

「妻は一人娘だが、妻の両親が高齢になってきた。自分が先祖代々承継してき た墓所に妻の両親も入ることは可能だろうか」 奥様のご両親が納得され、相談者さんご夫婦のお子さん等、承継者の了解があ れば可能です。

 このパターンは通常、別の個人墓を取るか、永代供養墓を選択するケースが 多いのですが、永代供養墓に抵抗のある方もまだ少なくありません。この国の 少子化に伴い「夫婦で、それぞれの両親の墓所を継承する」という事例は今後 間違いなく増えてきます。その際、同じ敷地内に別の墓所を取ることが自然な のですが、諸事情によりそれが難しい場合には、ご主人、奥様それぞれのご両 親のご遺骨を一か所に納めることはイレギュラーではなくなってくると考えま す。この選択のデメリットとしては、カロート(墓所の下部もしくは地下にあ る納骨スペース)がお骨壺で早めに満杯になる可能性が高くなる点があります が、その場合には古いご遺骨から順番にカロート内に散骨(ご遺骨を撒く)す ることになります。通常、カロート内には5,6体程度のご遺骨は収納できま すので、さほど気にすることはなかろうと考えます。

以上、今回は最近寄せられたご相談についてご紹介いたしました。 近隣の他寺でも同種のご相談が来ると聞きます。 寺院の経営管理の観点からも、継続的に取り組んでいかねばならない問題と感 じます。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)