NPO通信No.180

【NPO法人関連ニュースから:12月号】

「ヤクルトの近藤 ワクチン寄付で表彰 投球数に合わせ10年以上」

 10年以上にわたり途上国の子供たちにワクチンの寄付を続けてきたプロ野球・ヤクルトの近藤一樹投手に、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(港区)から感謝状が贈られました。
 近藤は2009年以来、毎年、投球数に応じた数のワクチンの寄付を継続しており、同NPO理事長からは「静かに黙って10年も続けてくださった。本当にありがとうございます」と言葉をかけられました。
 寄付をはじめたきっかけは、自らの苦しみから生まれたものでした。オリックスに在籍していた09年当時、故障を繰り返し、自分への励みにしようと社会貢献を模索しました。ワクチンが調達できない途上国では、感染症で多くの子どもたちが亡くなる現状を知り、「日本では当たり前なことが、日本ではないところでは当たり前ではないという感覚」は、自らが当たり前に投げられない当時の現状と重なり、寄付を始めたそうです。
 近藤は「ユニホームを着ている間はずっと(寄付活動を)やりたいと思っている。長く活動をしていけるように頑張りたい」と話していました。
(12月18日 毎日新聞)

 

「中国で広がるボランティア、公式登録者は1億人 日本で行う人も」

 12月5日の国際ボランティアデーに、中国各地で貧困児童へのプレゼントや身体障害者への生活支援など、ボランティアによる多彩な活動が行われました。この日に限らず、中国ではボランティアに関わる人が年々増加し、公式登録者は1億人を超えているようです。 
 ボランティアは、2008年に四川省で起きた大地震をきっかけに広がったと言われており、四川省などの被災地には各地から自発的にボランティアたちが集まり、がれきの撤去や支援物資の振り分け、避難所での被災者のケアなどに約300万人が関わりました。
 突発的な災害以外に、日常的なボランティア活動も増えてきており、出稼ぎで各地を転々とする両親に連れられて学校に通えない「流動児童」や、逆に両親が出稼ぎをして自宅で愛情を得られずに育つ「留守児童」を支援する活動、環境保全、障害者や高齢者の支援、貧困対策など活動の幅が広がっています。
 中国でのボランティアの広がりは日本とも結び付き、2016年4月の熊本地震では、「熊本に手を差し伸べよう」と復興を支援する動きが広がり、中国本土から熊本にボランティアへ駆けつける若者もいました。日本語がほとんどできない中国人も「四川大地震では日本人に助けてもらった。その恩返しをしたい」と自力で熊本の被災地にたどり着き、ボランティアの活動に参加していたようです。
(12月17日 東方新報)

 

「パリ駅伝が『脱プラ・減ゴミ』、ペットボトル廃止」

 11月3日のパリ駅伝で、仏陸上連盟は初めて「脱プラスチック・減ゴミ対策」を実施しました。スポンサーが、廃棄物ゼロをめざすNGO「ゼロ・ウェイスト」を陸連に紹介したことがきっかけで実現しました。
 駅伝はNGOと協力し、休憩所ではバラのお菓子や果物を出し、ペットボトル水ではなくエコカップを配り自分で給水してもらいました。駅伝のチラシもプログラムも印刷せず、チラシ1万2千枚、プログラム8千枚が節約できました。また、休憩所に水洗トイレは設置せず、使用後におがくずをかけるだけの「乾燥トイレ」と呼ばれるものにし、電力を使わない昔の「汲み取り式」を採用しました。こうしたアイデアは、廃棄物と無駄をなくすことを目指す同NGOが出し実現しました。
 仏陸連は、今後、参加者全員に無料で配るTシャツなどの景品は、欲しい人だけに渡るよう登録時の注文制にし、製品の無駄をなくしていきたいと話していました。
(12月11日 オルタナ)


(NPO会計税務研究協会 事務局 河合理恵子)