NPO通信No.181
「老眼鏡が結んだ日・タイの絆 川崎の眼鏡店、売れ残り品を現地に寄贈し20年」
使わなくなった老眼鏡をタイの人々に手渡しで無料提供するボランティアが2019年で20周年を迎えました。初期から活動の中心を担ってきた「メガネのオーサカ」の大坂社長は「あっという間の20年」と感慨深そうに振り返ります。これまでに配った累計7万本を超える眼鏡は、日本とタイの懸け橋になっています。
売れ残った商品や客が持ち込んだ古い眼鏡を有効活用しようと、1999年に全国から眼鏡店の有志が集まり、NPO法人「日本−タイ王国メガネボランティアグループ」(鳥取県)を設立しました。20回目となる今回の活動では、持ち寄った約2千本の眼鏡を2日間で全て配りきりました。また、東日本大震災では、大坂さんが宮城県南三陸町の避難所などに駆け付け、被災して眼鏡を壊したりなくしたりした高齢者らに老眼鏡をプレゼントしました。
活動開始から20年がたち、一つの過渡期を迎えたとも考えており、大坂さんは「タイも最近は経済状況がすごく良くなってきている。今後も活動が求められるのか、立ち止まって考えたい」と話していました。
(1月13日 カナロコ by 神奈川新聞)
「外国人の医療通訳 病院の費用負担で利用が半減 受け入れ進む中で問われる制度整備/群馬」
ボランティア頼みになっている医療通訳の仕組みに黄色信号がともっています。群馬県やNPOでつくる運営委員会が本年度、安定運用を目指して必要な費用の一部負担を医療機関に求めたところ、利用が半減したそうです。一部の機関は翻訳機を使いますが、通訳を代替できるか未知数で、関係者の危機感は強いままです。
本年度、医療通訳ボランティアを利用するため、運営委と協力関係を結んだ医療機関は昨年と比べ41%減り、通訳派遣回数は54%も減りました。
群馬大医学部附属病院は、2017年度に62回、2018年度に30回、通訳の派遣を利用しましたが、本年度は派遣を受けていません。負担金の支払いが必要になったことなどを理由に挙げており、代わりに民間開発の翻訳機を使っているといいます。
一方で、負担増を「持続可能な運営のために必要」と受け止める病院もあります。伊勢崎市民病院は「市内には多くの外国人居住者がいる」ことを理由に本年度も継続しており、前橋赤十字病院は「目の前に座って通訳してくれることに安心感がある」と通訳の必要性を指摘しています。
こうした状況に、医療通訳ボランティアの仕組みを県と運営するNPO法人「群馬の医療と言語・文化を考える会」(前橋市)は「現状でもボランティアや運営の負担が大きく限界。しかも、4月の入管難民法改正で外国人の受け入れが進む」と危機感を募らせています。誰が費用を負担するか、県と医療機関との話し合いと、国や県主導の医療通訳制度の整備を求めています。
(1月14日 上毛新聞)
「新聞販売店と連携、引きこもりの若者の就労をNPOが後押し」
和歌山県美浜町のNPOが地元の新聞販売店と連携し、引きこもりの若者の社会復帰支援に取り組んでいます。10年以上引きこもっていた30代男性は様々な人々との交流を機に、昨夏から新聞販売店で働き始めました。成果は周辺自治体に注目され、NPOはさらなる支援拡充を目指しています。
御坊市にある産経新聞の販売所にアルバイトとして勤務する釜中さんは、週6日、地元紙の折り込みや自転車での新聞配達をこなしていますが、実は高校時代から10年以上、引きこもっていました。心配した母親が人づてに見つけたのが、精神科医で和歌山大学名誉教授の宮西氏が設立し理事長を務めるNPO法人「ヴィダ・リブレ」(同県美浜町)でした。
昨年3月末に初めて会に参加し、そこで知り合ったのが現在の勤務先、産経新聞販売所の大前所長でした。何度か参加するうち、人手不足に困っていた大前さんから声をかけられ、思い切って働くことを決めました。NPOにとっても、支援対象者を就労につないだ初めての例となりました。
この実績を、美浜町など周辺6自治体も高く評価しており、今春から引きこもり者支援事業を同法人に委託する予定だそうです。「若者たちがどんどん成長し、社会に出ていけるステップアップのきっかけになれば」と同NPO理事長は話しています。
(1月19日 産経新聞)
(NPO会計税務研究協会 事務局 河合理恵子)
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