ＮＰＯ通信No.192

「コロナ禍で令和のわらしべ」

 新型コロナウイルスの影響で困窮する人たちに役立ててもらおうと、物々交換を繰り返すことで高価なものを入手し売却する取り組みを、NPO法人「みらくる」（大阪市鶴見区）が行っています。その取り組みは今年９月に100円均一ショップで購入した赤い糸からスタートしました。その後、電話で営業したり知人に頼み込むなどして、8,000円のコーヒー豆、色鉛筆2,000セット、プロ野球選手のユニホームとオンライン通話権と、“進化”を遂げていきました。６回の交換を経て、大阪市内の一戸建てを最大10年間無料で借りられる権利を手に入れますが、それをそのまま売却はせず、あめ270本と交換し、さらにあめを１本ずつ他のものと交換し、ボランティアの輪を広げます。あめと何かを交換してくれる人を募ったところ、あめの数を超える276人が交換を申し出があり、６本のあめを買い足し計276本のあめを銭湯の入浴券やオンライン家庭教師の権利、中古車、古民家などと交換しました。これらの一部は24日までにインターネット上で販売し、生活困窮者を支援するNPO法人に寄付するほか、コロナ禍で生活が困っている人に配布する予定です。
(12月15日 産経新聞)

「世界一うるさい爆音コンビニ」

　ドドドドド、と爆音のパンクミュージックが鳴り響く「爆音コンビニ DEAF MART」が、１２月４日東京都板橋区に限定オープンしました。「爆音コンビニ DEAF MART」は、クラブさながらの大音量でBGMが鳴りひびくコンビニで買い物をおこない、「声が聞こえない」環境下でのコミュニケーションを体験していただくイベントで。
　コロナ禍での「マスク」の着用が、口の動きや顔の表情を見ながら相手の言いたいことを読みとる聴覚障害者にとって大きな壁となっています。この問題を広く知っていただき、解決策を一緒に考えるきっかけとなることを目的に、NPO法人「Silent Voice」（大阪中央区）がこのイベントを企画しました。参加者には、「おつかいミッション」
・からあげ弁当（箸を2膳もらう、あたためない）
・お茶（ストローはいらない）
・フランクフルト（ケチャップとマスタードを1つずつもらう）
・84円切手3枚、などが与えられ、聴覚以外の“四感”を使ってクリアするよう指示されます。
　店内を探して、からあげ弁当とお茶をレジに持っていくのはとても簡単ですが、爆音の鳴り響くなか、店員さんは下を向いてレジ打ちをしているためフランクフルトが買えません。
　ようやくフランクフルトをオーダーしても、「ケチャップ」を示す方法がわかりません。「マスタード」はもっと難しく、マスタードをツーッとかける動作を何度も繰り返しますが、店員さんはまたケチャップを持ってきてしまいます。一番難しいのは「84円切手」です。
　切手はレジの中にしまってあるので店員さんに伝えなければいけません。体験した一般の参加者は、意思が伝わらないことの怖さと、聴覚障害のある人々は日頃からこんな思いを抱えているのかと愕然とし、考えさせられたようです。
(12月12日 BuzzFeed)

「サンタが来たよ、が聞きたくて」

　NPO法人「チャリティーサンタ」（東京都千代田区）は、クリスマスイブの24日、生活に困っている世帯の子どもたちに本を届ける企画「ブックサンタ」を実施します。本の寄付は全国307カ所の「協力書店」を通じて、誰でも参加できるのが大きな特長です。寄付の希望者は、協力書店で子どもに送りたい絵本などを選び、レジで「ブックサンタに参加します」と伝えます。書籍を購入してそのまま書店に預けると、本はチャリティーサンタ側に送られ、届け先の子どもの年齢などに応じて仕分けされます。そして24日の夜、サンタにふんしたボランティアたちが全国各地の家庭を訪ねて子どもたちに手渡すという流れです。参加者は大学生から60代のリタイア世代までと幅広く、毎年参加するベテランの中には、付けひげを使わず、自前のひげを伸ばして本番に臨むほど力の入った人もいます。訪問先の保護者から、子どもが頑張っていることや褒めてほしいこと、サンタの存在をどれくらい信じているかなどを事前に聞いて把握し、台本はないが、サンタは子どもの名前を呼び、一生懸命取り組んだことをたたえ、目を見て「いつも見ているよ」と伝えます。今年は新型コロナウイルスによる経済的な影響により、サンタを希望する家庭が増えていますが、ボランティアの確保が難しくなっている状況です。再び緊急事態宣言が出されるなど、深刻な状況になった場合は、最終的に訪問をやめる場合もあり、その場合は本を郵送し、オンライン通話でサンタと子どもが対面するなどの方法を検討しています。
（12月11日 毎日新聞）