NPO通信No.200

【NPO法人関連ニュースから:8月号】


「災害に備える防災スポーツ」

 いつ・どこで起きるかわからない地震や水害の防災対策となると、備蓄や家具の転倒防止などが思い出されますが、災害が起きると体を使うことが求められます。それならば防災をスポーツとして対策してはどうか――そんな思いから生まれたのが、防災スポーツです。スポーツには、「楽しむ」「運動」「競争性」の3つの要素がありますが、「運動」と「競争性」はそれぞれ、「身体を動かす、防災体力をつける」と「スピードを養う」と災害時に役立つ要素になります。それならば「楽しむ」を加えて、スポーツで災害に備えることができるというわけです。そこで、防災の日常化を目指してイベント企画や運営を行うNPO法人「プラス・アーツ」(兵庫県)の監修を受け、スポーツに関連する企画コンサルティング会社シンクが、「防リーグ」としてスポーツ競技化した体験プログラムにしました。現時点で種目は合計7種目です。例えば、バケツリレーと消火リレーを組み合わせた「バケツリレー&シューティング」は災害時に周囲の人と協力して水を運ぶチームワークを体験する種目です。一輪車を押しながらの障害物競争「キャットサイクルレース」は災害時に瓦礫や土砂などの中で台車を押す力を育みます。このほか、水難救助の「ウォーターレスキュー」、毛布で作った担架の障害物競走「レスキュータイムアタック」もあります。災害前には、「防災知識トレーニング」として、クイズ形式で災害・防災に関する知識をつけることを目指します。どれも、体験することで防災の知恵、技を学び、体で覚えることができ、さらに、スポーツ競技としてタイムトライアルにすることで、『安全に・より速く』を競い、さらなるスキルアップを図ることができます。防リーグは、構想から2〜3年を経て2018年に提供を開始しました。これまで学校や自治体、商業施設、住宅展示場などで開催、合計の体験者はすでに3000人を超えます。少子高齢化が進むと、助けられる人が増え、助けることができる若い人が減っていきます。助ける知識や知恵、技を持っている若い人やスポーツしている人が増えることで、災害が起きても減災できます。
(8月16日 ASCII)

 

「シルバー人材センターがゾンビ映画をつくる」

 大阪府門真市で、市民数百人が出演するゾンビ映画が13日の金曜日に公開されました。つくったのは、シルバー人材センターです。地元のフィルムコミッションが演技の経験もない市民を即興で撮影しました。「何でゾンビ映画なん?」と声があがったのは門真市シルバー人材センターの理事会でした。2020年に同センターが40周年を迎えるにあたって、「市民が参加したゾンビ映画をつくろう」と提案が出されていたからです。理事会に先立ち、センターが相談したNPO法人「門真フィルムコミッション」(大阪府)のアイデアでした。日本で初めてゾンビ映画が公開されたのは1979年にとされ、人材センターと「ほぼ同い年」で、それに「ゾンビ役ならセリフや細かい演技なしで多くの人が参加できる」と考えたからです。グロテスクなイメージもあるゾンビ映画に後ろ向きな声もあるなかで、理事会では「安心してみてもらえるよう、SDGsをテーマにしては」と意見が出ました。ジェンダー平等や貧困撲滅といった、国連が掲げる「持続可能な開発目標」のことです。「ゾンビ映画に出ない?」「メイクしますよ」。口コミやセンターの広報誌を使って募ると、徐々に参加者が増えました。参加者はメイクをして、動画で「演技」の勉強し、用意されたシナリオはなく、その場で同NPO法人の指示で動く。1回20分程度の撮影は計100回を数え、延べ1200人の市民が参加しました。参加者の女性は「面白半分で撮影にいった。最も印象に残っているのは、横になった人の「内臓」に見立てた腹巻きを食べるシーン。演技経験なんかないけれど、面白かった。実は夫が大けがをして落ち込んでいた時期でもあった。映画の撮影が元気をくれた。」と語りました。
(8月13日 朝日新聞)

 

「コロナ禍の芸舞妓をNPOが支援」

 芸舞妓が夏のあいさつで得意先に配るうちわをテーマにした展覧会が、京都市東山区で開かれました。収益の一部を花街に寄贈する計画です。コロナ禍で収入が減少し、花街を去る芸舞妓がいることを報道で知ったNPO法人「京都藝際(げいさい)交流協会」(中京区)が企画しました。花街近くの東山区下河原町にあるギャラリー悠玄(ゆうげん)で開催しています。涼を得るだけでなく、厄を払ったりスポーツの応援に使われたりするうちわからひらめいたイメージを、公募に応じた作家らが作品にしました。芸舞妓が配る京丸うちわに、せりふがない吹き出しを描いて見る者の想像をかき立てる作品や、祇園祭の山鉾をうちわに見立てた紙粘土の造形、涼感漂う絵柄を描いたものなど約80点が並びます。うちわから広がるさまざまな世界を楽しめて、花街と作家、お客さんそれぞれの役に立てる三方よしの展示にしたいと主催者は話しました。
(8月12日 京都新聞)


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)