NPO通信No.202「NPO法人が進める社員食堂作戦」
地域の飲食店を社員食堂として利用してもらう取り組みが福島県郡山市で始まりました。企業の福利厚生の充実、新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだ飲食店支援につなげようと、市内のNPO法人「こおりやま地域人財支援センター」(福島県)が福岡市の企業と連携して展開させます。参加する企業・団体は電子チケットを社員に配布し、地域の飲食店を社員食堂と位置付けて利用してもらいます。チケットは社員のスマートフォンなどに配られ、登録している全ての飲食店で利用が可能です。社員が地域の飲食店に足を運ぶ機会を増やすとともに、福利厚生の充実で社員のモチベーション向上につなげる狙いです。企業・団体は社員の飲食代と、手数料1割を負担します。飲食店側の登録は無料で、負担なく参加できます。現在の市内の登録飲食店は5店舗で、年内に50店舗への拡大を目指しています。
「沖永良部島で子育て支援」
沖永良部島で閉院になった病院をセルフリノベーションして子育て支援を目的とした複合施設「SMAPPY(スマッピー)が10月にオープンしました。施設名は「Smile & Happy」の略語からです。発起人はNPO法人「SMAPPY」です。島内で遊びに行ける公園や雨の日に気軽に遊びに行ける屋内施設があれば、お母さんたちも楽しく、子どもたちもストレスなく過ごせるのではとの想いからオープンへ向けて踏み出しました。施設候補地を求め、行政や商店街に相談に行くことから始め、声を掛けていくうちに今の場所を紹介されプロジェクトがスタートしました。病院の機材などが残り、壁紙などもボロボロでしたが、メンバーでこれらを撤去してリノベーションを開始し、子どもたちのためにオーガニックの漆喰(しっくい)を取り寄せ、みんなで壁に塗っていきました。9月にフリーマーケットや縁日などのイベントを、感染対策を徹底して開くと、200人を超える親子連れの来場があり、地域の人々の期待感を肌で感じたといいます。施設の開設の様子や不用品の改修などをSNSアップしていたところ、多くのリユース物資が島外から届き、とても励みになりました。
「障害者の店員が古着をコーディネート」
「あんた!(A)いいやん!(I)」と言ってもらえる服を、私たちがご提案します――。障害者の生活支援に取り組むNPO法人が、客の写真に合わせて古着をコーディネートし、格安でネット販売しています。どんな服が届くかというドキドキ感が魅力のサービスは、名付けて「AIコーデ」。ですが、服を選ぶのは人工知能(AI)ではありません。古着店で働く障害者たちです。NPO「月と風と」(兵庫県尼崎市)が運営するチャリティー古着店「ふくる」で、9月からAIコーデを始めました。古着の購入希望者に自分の写真を送ってもらい、その人に似合いそうな服を選んで発送する仕組みです。お客さんもわくわく感を味わえ、ゲーム性もAIコーデの売りです。人工知能の英語の略称をもじり、命名しました。古着店の運営は19年4月からで、きっかけは、かつて介助した重度の身体障害者です。体はほとんど動かせなかったが、顔の表情を変えることで好みを伝え、着る服を自分で毎日選んでいました。障害者でも服なら持ち運びが軽く、コーディネートもできると思い付き、障害者たちの働く場所を確保するためにも店を始めました。サービスを始めたところ、コロナ下で接触を避けて古着の着こなしを楽しめることから売り上げも好調だそうです。脳性まひのため生まれつき手足が不自由な店員は、「AIコーデではお客さんと直接会えないので不安もあったが、『細身の服で』などと注文の際にメッセージが添えられるので、イメージを膨らませて選んでいる」と話します。利用客からは「自分の体形に合った服をうまく選んでくれた」といった感想が寄せられています。
(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)
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