NPO通信No.204

【NPO法人関連ニュースから:12月号】


「義足のレンタルをすすめるNPO法人」

 病気や事故などで足を失った人たちを支える人工の足「義足」。この義足の中でも「走る」ことを目的に作られたスポーツ用義足で子どもたちを支援しようと新たな取り組みが来年、新潟で始まります。新潟医療福祉大学にある屋内の陸上競技場に集まったのは、義足の利用者やスポーツ用の義足の使い方を学ぶ義肢装具士や理学療法士などです。板バネが付いているスポーツ用の義足は生活用の義足と比べると軽く、走りやすくなっています。このスポーツ用の義足が大学を拠点とし来年からレンタルサービスが始まるというのです。このプロジェクトを立ち上げたNPO法人「ギソクの図書館」の理事長は義足の研究開発に取り組むエンジニアです。スポーツ用の義足は高価で特に成長期の子どもが何回も買い足すことは困難です。そこで子どもが継続的に走れる環境を整えたいと考え、1回500円で借りられる「ギソクの図書館」を2017年、東京にオープンしました。この取り組みを新潟に広げようというのです。この日、初めて家族と見学にきた4歳の男の子。生まれつき右足首の先がなく日常用の義足を使用しています。初めて見た義足に興味深々です。義足のレンタルが広がることでまず、子どもたちの「走る」ハードルを下げたいといいます。
(12月15日 テレビ新潟)

 

「軽石の漂着を学びに活かす」

 沖縄県内各地の海岸や港に漂着している軽石。漁業関係者やホテルなどへの影響が深刻化する一方で、軽石の漂着を学びのチャンスとして活かそうとする新たな動きも出てきています。2021年8月、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火し、このとき噴き出したのが「軽石」です。軽石は海流にのって県内各地の海岸や港に漂着します。漁業関係者は船の故障につながるため、漁に出られず、ビーチでは青い海と白い砂浜が一変し、各地で被害が深刻化しています。子どもたちへの自然学習を提供する中城村のNPO法人「国際自然大学校 沖縄校」は、今回の大量漂着を受けて、子どもたちが軽石や火山について学ぶ機会にしようと、学習会を企画しました。被害報道ばかりになると、子どもたちがあまり良いイメージを持てない状態です。もちろん被害もあるので難しいところですが、もうちょっとアカデミックな視点というか、子どもたちに正しい知識と学ぶ楽しさを伝えようと、軽石や火山に詳しい大学教授やJAMSTEC=海洋研究開発機構の研究員など、専門家の力を借りて教材を作りました。軽石がどのようにしてできて沖縄に漂着したのか、その形や色、含まれる物質によって種類が異なります。実際に海に行ってみると、スポンジ状のものや黒と灰色が混ざったものと様々な軽石が見つかり、中には宝石にもなるカンラン石などの鉱物を含むものもありました。100年に一度とも言われる軽石の漂着。自然の営みに興味をもつきっかけになればと、学びの場に活かす取り組みです。
(12月9日 FNNプライムオンライン)

 

「不幸になる猫たちを減らす取り組み」

 鹿児島市のNPO法人「犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島」は12月7、8の両日、野良猫の不妊・去勢手術を桜島地区の古里公民館で行いました。捕獲した猫を市街地側の動物病院に運ぶケースはありましたが、獣医師が出向いて手術するのは初めてです。市内の観光地に生息する野良猫に不妊・去勢手術を施し、費用を市が補助する「観光地猫」活動の一つです。市職員やボランティアら10人が参加し、湯之平展望所や桜島溶岩なぎさ公園など9カ所に捕獲器を設置し、獣医師が、脚立で作った台の上で雄35匹、雌20匹を手術しました。猫は生活していた場所にそれぞれ戻されます。ボランティアで2日間参加した会社員は、「これまで3日に一度は桜島に来て、猫の様子を見てきました。不幸になる猫たちを減らせるので大変ありがたい」と喜びました。
(12月15日 南日本新聞社)


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)