NPO通信No.205「生活保護を受けられない大学生を支援」 虐待から逃げるために家出した大学生らが生活保護を受けられない問題で、神奈川県横須賀市は2022年度から、生活保護と同等の金額を支給する制度を創設します。生活保護は大学生を受給の対象外にしており、自治体が独自の支援制度を設けるのは珍しいです。市によると、対象は18〜19歳の大学生や専門学校生らで、市の児童相談所が関与し、虐待から避難して自立援助ホームで暮らすケースに限ります。支給額は月7万円余の生活費と通学用の交通費で、生活が安定するまで最長で1年半給付します。制度創設のきっかけは21年12月、NPO法人「子ども支援センターつなっぐ」(横浜市)から要望を受けたことです。このNPOは、虐待を受けて家から逃げたものの体調不良で生活費を稼ぐのが難しい女子大学生を支援しており、生活保護の適用を求めました。ですが国は大学生の生活保護受給を認めていないため、独自の制度を設けることにしました。市は今後、生活保護制度を虐待などを受けた事情に応じて適用できるよう国に改善を求めます。
「外国人技能実習生をサポートするNPO法人」 岐阜県美濃市の地域おこし協力隊として活動するメンバーが外国人技能実習生の支援団体「NPO法人ゆいまーる技能実習生応援団」を立ち上げ、技能実習生の悩みや困り事を聞き取り、サポートを続けています。地元住民とつながれる場をつくろうとカフェもオープンしました。応援団は活動に賛同した人や知人ら大学生から60代までの10人で設立し、フェイスブックに応援団のグループをつくり、協力者を増やしてきました。現在約80人が登録。毎週水曜夜、応援団メンバーと技能実習生が交流できる場をオンラインで設け、近況や悩みなどを語り合います。楽しみながら日本語や日本の文化を学ぶ機会にもなっており、インドネシアのほか、ミャンマーやベトナム、モンゴル、スリランカ、中国など複数の国の出身者が参加します。実習生の多くは日本人との接点が限られ、孤立していることも課題です。騒音問題や、日本語の理解力不足や文化の違いが多くのトラブルの原因になっていると知り、失踪したり、追い詰められたりする前に対策や予防し、コミュニティーで見守り続ける体制を整えます。
「校則を見直すNPOの取組み」 時代に合わなくなった校則を、生徒が教員と議論しながら見直す取り組みが足利清風高(足利市)で進められています。髪形や服装など細かく定められた規定を一つ一つ検証。全校生徒にアンケートを実施したり、客観的な視点を取り入れるため企業訪問をしたりと活発に活動しています。個性や心の多様性を尊重し、学校生活を送りたい-、生徒たちはそんな思いで向き合っています。見直しを提案したのは、生徒指導部長である主幹教諭でした。「校則で生徒を抑え付けているのではないか」との違和感が契機となり、生徒主体の校則見直しを支援している認定NPO法人「カタリバ」(東京都)のプロジェクト「みんなのルールメイキング」に応募しました。場を設けたのは「ルールメイキング委員会」。1、2年生の8人が中心メンバーで、この日はできるだけ多くの意見を上げてもらうため、委員以外の生徒も含め約20人が集まりました。大きな模造紙を囲んで座った生徒と教員が、議論しながら意見を書き連ねていきます。「(髪形で)お団子OKにしてほしい」「男子のスカートは何でだめなの」。頭髪の色が生まれつきのものか確認するための「地毛申請書」の提出や、下着の色の指定など、同校の校則は何十項目にも上ります。委員たちは、全校生徒に校則に関するアンケートを実施し、「下着の色」については約3分の1が不満を寄せたことなどから、人権上の問題もあるとして学校に働き掛け、いち早く廃止が決まりました。県内外の銀行やメーカーなどを訪れ、自分たちの考えに対する企業の受け止めも聞きました。禁止されているツーブロックや前髪の長さの規定、性別によって決められた制服の在り方などについて議論を詰めています。
(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり) |