NPO通信No.208「ウクライナ避難民への支援ひろがる」
ウクライナからの避難民の受け入れが進んでいます。4月5日には軍事侵攻でポーランドに身を寄せていた20人が政府専用機で到着し、入国者は400人を超えています。関西では民間団体が独自に支援するプロジェクトが進んでいます。ウクライナから避難した人々の生命を守り、生活再建に寄与するため、 日本ウクライナ文化交流協会(大阪府)などが「ウクライナ避難民を日本に迎える会」を結成しました。避難民にホテルの部屋を無償で貸し出し、食事や就労、語学学習支援などを支援します。6日夜、ウクライナ・オデーサ(オデッサ)からナターリャ・オレイニクさん(49)が、長男・マクシムさん(16)と長女・ダリ―ニャさん(13)が羽田空港に到着しました。翌7日午後に新幹線で新大阪駅に到着、会が用意した大阪市内のホテルに一時滞在します。そして食事やスマートフォンの提供、仕事の斡旋や日本語学習を支援します。出入国在留管理庁は6日、ロシアによる侵攻でウクライナから日本に逃れた避難民について、支援の申し出が4月5日時点で736件となり、軍事侵攻が始まり1か月経った2022年3月末から145件増えたと明らかにしました。増加分の多くが企業や個人によるもので、仕事や住居の提供など内容はさまざまです。400人以上が来日する中、自治体やNPO法人なども含めた支援の輪が広がります。入管庁によると、全国から寄せられた支援申し出の内訳は民間企業348件、地方自治体154件、NPOなど18件、その他(個人など)216件。企業の支援は「就労機会を提供したい」という内容が中心です。個人からの申し出はさまざまで、入管への届け出申請を手伝いたいという行政書士や、住居を提供したいという不動産所有者といったものがあるといいます。
「ランドセル、制服など再利用するシステム」
霧島市国分の天降川小学校保護者有志が、使わなくなったランドセルや制服などを再利用するシステム作りを始めました。卒業生らに不要品を募り、4月2日、ランドセル33個、制服136着、体操服83着などが持ち込まれました。ランドセル以外の品々は学校に寄付、物々交換などを通して「校内でモノが巡る」仕組み作りを進めます。今後は寄付品と在校生が使わなくなった品を交換する「物々交換のシステム作りにつなげたい」と話しています。ランドセルは鹿児島市のNPO法人「若者・留学生サポートステーション響」(鹿児島市)を通し国内に住む外国籍の子どもに渡されます。体育館シューズ22足、鍵盤ハーモニカ18台、算数セット12個のほか、リコーダー、粘土板、給食用おぼんなども集まりました。
「オンライン授業に“がってんボタン”」
コロナ禍でオンライン授業が常態化し、学生の学力低下が懸念されるなか、ボタンを押して教師の問いかけに反応することで授業の理解度を高める「がってんボタン」を東京大学教授らが開発、実用化されることになりました。NPO法人「IOTメディアラボラトリー」(東京都)とセンサー開発で知られる「システムジャパン」、東大研究室の共同開発です。ズームを使ったオンライン授業では学生の理解度がなかなか伝わらないが、このボタンを使えば、下を向いている学生も理解してくれていることが分かり、授業に関する関心度、やる気も上げてくれます。「がってんボタン」はUSBケーブルでパソコンに接続するだけで簡単に装着できます。オンライン授業は、学生がまず「がってんボタン」の機体にIDカードを取り付けて出席を告知し、教師は自身のパソコンのモニターで学生の出欠を確認してスタートします。教師が学生に「分かりましたか」と問いかけると、理解できた学生は「がってん!」とばかりにこのボタンを叩く、すると教師側のモニターにがってんサイン≠ェ点灯、学生がボタンを押す速度もモニターに記録されます。「がってんボタン」の内部には、近距離なら接触しなくても呼吸や脈波などを計測できる非接触型バイタルセンサーが設置されており、学生がボタンの前から離れると出席サインが消滅。このセンサーにより、教師は学生の理解度だけでなく、出席≠フチエックもできます。非接触バイタルセンサーはシステムジャパンが開発し、介護などの分野ですでに商品化されています。「がってんボタン」は東大研究室が、オンライン授業で学生の理解度を深めるには何らかのアクションを起こさせることが効果的との実証を得て、システムジャパンと共同開発契約を結んだことで誕生しました。学生たちの抜け授業≠防ぐことができるうえ、ボタンを押す動作で集中力を高めることができる「がってんボタン」の効果について、同NPO理事長が学園長を務める中学校と高校で令和2年と3年に試作品による実験を実施したところ、ボタンを使った学生と、使っていない学生では、使った学生が20%も点数が良く、まさに魔法のボタン≠ニしています。リアルな授業でも効果が期待できそうな「がってんボタン」。学生の授業に対する意欲を向上させ、学力低下に歯止めをかけることができるでしょうか。 (NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり) |