NPO通信No.211

【NPO法人関連ニュースから:7月号】


「NPO法人がすすめる『ふるさと兼業』」

 厚生労働省の統計によると、副業する人の数はこの10年で2割以上増加し、オンライン化が進み、地域を超えての参加もさかんになりました。移住しなくても、会社を辞めなくても地方の企業に関われる「ふるさと兼業」という副業形態で、本業ではできない経験をする人が増えています。2020年秋、関東在住の2人の女性が地方でのオンライン副業に参加しました。勤務先は、愛知県の杉浦味淋(株)です。杉浦味淋(株)ではみりんをもっと広げたいと、展示会やみりんを使ったレシピ開発を考えましたが、苦戦する日々でした。社内では生まれにくい新しいアイデアを求め、地元の生産者と開発したみりんを使ったグラノーラとドレッシングのマーケティングや、新商品開発に関わる人材を「ふるさと兼業」を通じて募集し、応募者12名のうち2名を受け入れました。マーケティング・広報や野菜ソムリエの経験・資格を持つ2人は、新しいレシピの開発からSNSの活用、イベントの開催等に携わり、みりん関連商品の顧客層を広げることに貢献し、今回は3か月間の設定でしたが、終了後も2人ともそれぞれ副業として関わり続けています。このように、全国各地に住む個人と地域中小企業のマッチングを行い、地域を超えた事業参加を後押しするのが「ふるさと兼業」です。この仕組みを立ち上げたのは、岐阜県に本拠地を置くNPO法人「G-net」です。ふるさと兼業は他の副業仲介サービスと違い、副業先が抱える課題解決や事業への共感を第一にしています。『ふるさと兼業』は、好きな地域や共感する事業にプロジェクト(副業案件)単位で関わる仕組みです。都会で生活しながら貢献する、会社員などの本業を持ちつつ地方のNPOや中小、ベンチャー企業に関わる働き方の選択肢を増やします。兼業禁止の企業勤めの方でもプロボノ(各分野の専門家が、職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献する関わり方)として参画するなど、応募者の仕事スタイルや希望する生活に合わせて、プロジェクトを選ぶことが可能です。スキマ時間活用から週3日間働く方まで、勤務形態はさまざまです。まだ、ふるさと兼業をきっかけにした地方への移住自体はあまり多くありません。ただ、人によっては、働く場所・住む場所の自由な組み合わせも可能だと気づき、生き方を見直すきっかけになることもあるようです。
(7月20日 CHANTO web)

 

「パパの子育てを支援」

 「100の言葉よりhug(ハグ)」をモットーに母親と子どもを支援するNPO法人「mama's hug(ママズハグ)」(小田原市)が7月、「初めての子でどうしていいかわからない」とのパパの悩みに答えるため「Papa's hug(パパズハグ)」を設立しました。新たに設立したパパズハグ内には「パパの子育て研究所」も併設。「ママを支える専門士」の資格を取得したパパが所属し、「パパもママを支え一緒に子育てを楽しむ」ことを活動目標に据えます。『子育ては夫婦で取り組むもの』と考える人が多くなる一方、夫婦間の考え方のギャップが子育てに影響するケースも多く、いかに夫婦間のギャップを埋めて協力し合う子育てができるかがポイントになります。そして父親の持つ力の素晴らしさ、父親にしかできない育児があることを明らかにしていきたい、と意欲を見せます。第1弾の活動として「パパの子育て研究所」のイベントを7月31日、BLEND PARK(小田原市)で開催し、父親育児の大切さと素晴らしさを訴求し、併せて、パパ研究員の募集を行います。
(7月20日 みんなの経済新聞ネットワーク) (5月16日 DaiichiTV)

 

「路面電車内にビアガーデン」

 路面電車の魅力を高め、利用者増加につなげようと、岡山電気軌道などは、路面電車内にビアガーデンを設けた「MOMO DE ビアガー電」の運行を始めました。NPO法人「路面電車と都市の未来を考える会(RACDA)」が企画し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3年ぶりの運行となりました。「ビアガー電」の車両には、超低床路面電車(LRV)の「MOMO」が用いられています。初日は、検温、手指消毒などの感染対策をした参加者約15人が乗り込み、午後7時に岡山駅前電停を出発し、約2時間をかけて東山、清輝橋の両路線をそれぞれ1往復。乗客はビールや食事を楽しみました。
(7月19日 読売新聞オンライン)


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)