NPO通信No.214

【NPO法人関連ニュースから10月号】


「地球に衝突する可能性のある小惑星を観測」

 宇宙開発が進むにつれて、宇宙ゴミ問題が深刻化しているといわれていますが、宇宙ゴミ問題同様、軽視できないのが、地球への小惑星衝突というシナリオです。恐竜が絶滅したのも、いまから約6600万年前、直径10km級の小惑星が衝突したことで舞い上がった粉塵が太陽光を遮り、寒冷化による地球規模の気候変動が起きたためといわれています。NPO法人「日本スペースガード協会」(東京都)では、そうした地球に衝突する可能性のある小惑星や彗星を日頃から探査・観測しています。地球に接近する軌道を持つ小惑星は約3万個発見されていますが、幸い直径1km以上の巨大な天体が接近してくる可能性は数十万年から1億年に1度あるかどうかというレベルなので心配はしなくていいでしょう。問題は、地球に接近する直径140m以上の小惑星です。推定2万5000個あるのですが、そのうちまだ40%しか発見されていないのです。頻度こそ数百年に1度程度とみていますが、衝突の危険性はグンと跳ね上がります。もし140mクラスの小惑星が秒速20kmで衝突した場合、衝突地点には直径2.6km、深さ560mのクレーターができるほどの衝撃だといいます。もし東京駅に衝突した場合、被害範囲は半径約50km(東京・神奈川・千葉・埼玉)に及ぶ計算です。
(10月18日 NEWSポストセブン)

 

「福祉留学生をすすめるNPO法人」

 長崎県佐世保市の社会福祉法人「宮共生会」は県内で唯一、福祉留学生の受け入れを始めました。日本人の学生や福祉関係者らが、自分で選んだ福祉施設に“留学”し、現場を知る取り組みです。学生らの業界への理解が深まるだけでなく、学生らと施設の「出合い」につながるなど福祉業界にとっても可能性が広がります。福祉留学は、東京のNPO法人「Ubdobe(ウブドベ)」(東京都)が2019年に始めました。施設が受け入れるのは日本人の学生です。期間は希望に応じて設定しますが、5日〜2週間程度が多いです。学生らの就職先は出身地や学校の所在地が多く狭い範囲で決めています。就職後、ミスマッチを理由に業界から離れるケースもあるといいます。留学先はウブドベと連携する全国の施設の中から自分で選びます。カリキュラムがある実習とは違い、枠にとらわれない体験ができるほか、多様な施設を知ることで自分が目指す方向性が見えてくる利点があります。人手不足が課題の業界にとっても、出合いの数を増やすことにつながります。広島大教育学部から宮共生会への留学生は、佐世保市にゆかりはなく、福祉留学の制度で複数の種類の事業所を持つ宮共生会を知りました。将来、障害者福祉に携わるか特別支援学校の教員を目指すか悩んでおり、選択の参考にしたいと選んだといいます。留学したのは10日間で、宮共生会が運営する放課後デイサービスや生活介護事業所、就労継続支援事業所など利用者の年齢や障害の重さが異なる複数の施設を見ました。利用者と遊んだり、入浴介助やテイクアウト用の弁当を詰める作業をサポートしたりして直接触れ合い、施設スタッフの仕事ぶりを見学しました。留学を終え、「利用者一人一人に個性があり、配慮することも違うので難しさがあったけれど、いろいろな施設を見て、将来を考えるいい経験になった」と振り返りました。
(10月18日 長崎新聞社)

 

「子どもたちに薬の知識を広める活動」

 大分県杵築市を拠点に活動するNPO法人「日本薬育研究会」は、香辛料などで使われる生薬をもとに独自で調合したクラフトコーラ「薬師コーラ」を作りました。生薬を煮出して作る「煎じ薬」と同じ手法を用いており、自宅で簡単に調理できるのが特徴です。錠剤などが浸透する以前の薬の作り方を、子どもたちに知ってもらおうと企画しました。材料は乾燥させたシナモンなど9種類を使います。それぞれ袋に入れ、麺棒などで砕き30分ほど煮出してざるでこし、きび砂糖と煮汁を合わせて沸騰させます。ライムなどかんきつ類の果汁を加えて冷やすとシロップが完成し、炭酸水で割るとコーラができます。同研究会は、子ども向けに薬の選び方、正しい服用方法といった知識を身に付けてもらおうと県内外で活動しており、クラフトコーラは2年ほど前から試作を繰り返し、現在のレシピを完成させました。自分で作ってみると、市販のジュースに多くの砂糖が使われているのが分かり、楽しみながら学んでもらい、健康への意識を高めてもらえればと話します。
(10月17日 大分合同新聞)


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)