NPO通信No.216「NPO法人が持続可能な釣り場作り」
渓流釣り、国内のトラウトフィッシングというと、メインステージは東日本から北日本にかけての印象が強いですが、そんななか、関西にも近年注目を浴びているエリアがあります。 それは兵庫県の真ん中を流れる市川の「神河C&Rエリア」です。しかも運営は漁業協同組合(漁協)ではありません。釣り人有志によるNPO法人「兵庫トラウトファンデーション」が行なっています。今までの国内の渓流釣りの概念を覆す新しい試みですが、すでに10年以上の実績を積んでいます。兵庫県南部を流れる「市川」は、県中央の山間地を源流として南へ流れ、姫路市で播磨灘(瀬戸内海)に注ぎます。延長約73kmの2級河川です。過去には上流の「生野銀山」から長年に渡って重金属が流出し、魚の棲めない川となっていた時代もあり、氾濫の多い川でもあったようです。そんなこともあり、通常だと存在する漁協の管理下に置かれることがなかったといいます。その市川に地元や京阪神を中心とした有志が集まり、2011年の秋に「兵庫トラウトファンデーション(HTF)」というNPO法人が立ち上げられました。以後、賛同する釣り人の数は増え、現在は135名(正賛助会員・サポーター合わせて)です。活動理念は以下のようになっています。1 川と魚を見守るふるさと活性化事業、2 青少年自然交流事業、3 河川環境保全のための清掃事業、です。レギュレーションにゴミの持ち帰りが明記されていますが、釣り人一人ひとりが“リバーキーパー”としての自覚を持ち、草刈りや清掃活動も行なっています。魚の放流会に併せて清掃イベントを行なっており、駐車スペースも整えられています。その他、HTFの活動は多岐に亘ります。“タグ付け放流”を行い、トラウトの移動による生息域調査を実施しデータを採取、川のキャパシティに見合った適正な放流についても調査し続けています。また、地元の高校教諭を招いての水辺の生き物調査も行われていたりします。日本国内、特に本州での河川の釣りは、その大部分が漁協によって管理されていますが、現実問題として高齢化が進んでおり、実働する組合員の減少が課題となっている組合も少なくありません。その結果、かろうじて放流事業のみの活動に留まってしまっているケースもあります。そんな中、HTFによる活動には新しい風を感じます。10年後、20年後、日本の未来の釣り場は地域への貢献を含めた環境保全なくしてはありえないでしょう。“公共性の高い釣り場作り”の新しいモデルケースとして注目していきたいです。
「高校球児の野球肘検診に協力」
兵庫県高校野球連盟は12月18日、加古川市の兵庫大学体育館で、加盟各校の投手を集め、「野球肘検診」を実施しました。初の試みで、約320人の投手が参加し、医師や理学療法士から、肩や肘の状態のチェックを受けました。近年、投手の登板過多が問題視され、日本高野連は2020年から、1大会で1週間の球数を500球以内とする制限を導入しました。検診での早期発見で故障を防ごうと、県高野連は、小中学生への無料検診で実績があるNPO法人「兵庫野球指導者会」と共催で呼びかけ、硬式の加盟全校から各2人が参加しました。この日は、神戸大や兵庫医科大の医師や理学療法士らボランティア約70人が協力し、選手の腕や肘を動かしながら「痛みやしびれはない?」などと問診し、超音波のエコー機器も使って骨の状態を確認しました。ストレッチの指導もありました。県高野連は今後も定期的に実施する方針です。
「忍者の技を新しいスポーツに」
忍者の手裏剣に似た飛び道具「輪(りん)」をモチーフにした新スポーツ「手裏輪」。その新しい専用練習場が三重県伊賀市内にオープンしました。今春まで県の屋内体育施設だった旧ゆめドームうえの(伊賀市ゆめが丘1丁目)で教室が運営されていたこともありましたが、施設が地元企業に売却され、新たな練習場の確保が課題になっていました。設置したのは、手裏輪の普及をはかる市内のNPO法人「三重のこころ」です。新しい専用練習場は、伊賀市緑ケ丘南町にある事務所の物置を改造し、幅約2メートル、奥行き約3メートルのスペースに造りました。オレンジ色のシートを敷いて的となるボードなどを置き、12月初旬に開設しました。手裏輪はスタンダード、バトルなど3種目あり、いずれも点数を競います。スタンダードは、手裏剣形の合成ゴム「忍輪」を、棒5本が付いた2.5メートル先のボード(的)に投げ、棒に掛かるなどすれば得点できます。忍者の里から手裏輪の魅力をもっと広め、全国大会に向けた予選などでも活用したい、と利用を呼びかけます。
(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり) |