NPO通信No.221

【NPO法人関連ニュースから:5月号】


「認知症ケアを週一農業で」

  静岡県伊東市では、認知症への取り組みに力を入れています。特に軽度の認知症の人や認知症への不安を抱えている人に向け、生きがいややりがいを持ち続けられる地域を目指したプロジェクトを立ち上げました。農作業に汗を流すのは、最近物忘れが気になった人や軽度の認知症と診断された人たちです。週に一度、野菜作りをするために伊東市内の畑に集まります。これは全国的にも注目を集めるプロジェクト「富戸ケアファーム」の一環で、認知症を専門とする医師や研究機関が参加し、これまであまり支援が行き届いていなかった軽度の認知症の人へのケアをまちぐるみでします。NPO法人「えん」(静岡県)が、このプロジェクトの立ち上げ人です。認知症の疑いや軽度の認知症と診断されてから実際に介護を必要とするまでの期間は、平均すると2年間といわれています。この2年間は「空白期間」と呼ばれ、社会的な孤立や生活の質の低下が進む可能性が高く、全国的な課題となっています。伊東市が取り組む「富戸ケアファーム」は、この「空白期間」のケアに特化した取り組みです。まだネガティブなイメージが根強い認知症。このプロジェクトは認知症を理解し、認知症への不安に寄り添う地域づくりを目指しています。。
(5月23日 静岡放送)


「さとうみで生態系の再生を目指す」

  人の手を加えて海洋環境の改善を図る「里海づくり」の推進組織が22日、メキシコ西部のカリフォルニア湾に面したラパス市で発足します。岡山県備前市日生町地区で里海づくりに長年取り組んできたNPO法人「里海づくり研究会議」(岡山市)がアドバイザーとなり、貝殻を使った人工魚礁の設置など岡山発の技術を用いて、同湾の生態系の再生を目指します。同様の試みは中南米では初めてといいます。国際協力機構(JICA)による途上国支援の一環です。「Satoumi(さとうみ)協議会」の名称で、現地の政府関係者や漁業者、環境保護団体など官民のメンバー10人が名を連ねます。魚礁を設計・製造する海洋建設(倉敷市大畠)も協力し、5月には、網かごに貝殻を詰めた魚礁(1辺75センチの立方体型)をラパス市近くの海底に200基沈めました。貝殻の隙間に魚の餌となるゴカイやカニをすみつかせ、漁獲量の回復を狙います。住民向けの海洋教育も予定しており、廃プラスチックを含む海ごみの回収イベントや、人工魚礁に集まる魚を鑑賞できるダイビングツアーを検討していきます。。
(5月20日 山陽新聞)


「トマト村に世界が注目」

  高知県日高村。住民わずか5000人の過疎の村に、なぜか世界中から視察が相次いでいます。人口わずか5000人の村、高知県日高村。高齢化と人口減少に悩むこの村で、特産品を使ったありそうでなかった“ある商品”が大人気だといいます。地元・高知県の物産展では大行列。その正体は、地元の特産品を使った「とまとみそ」。日本一糖度が高いとされる地元産フルーツトマトと、お味噌。隠し味には、高知の名産品カツオ節が。和食にも洋食にも合う“万能調味料”です。食べ方は色々。納豆にチョイ足しや、肉との相性もバッチリ。チョイ足しするだけで、食卓が豊かになります。ふるさと納税の返礼品としても、大人気なのだそうです。実は、この「とまとみそ」は、農家の“困りごと”から生まれました。味は変わらないのに、形が悪いだけで廃棄されてしまう「規格外トマト」。そのほぼすべてを地元農家12軒から買い上げ、活用しているのです。この事業を行っているのは、地元のママさんたち、20人近い女性で作られるNPO法人「日高わのわ会」です。製造から箱詰めなど、すべてママさんたちが行っています。働きたくても、子育て中だと働き口が見つからない、そんなママたちが活躍できる場所として「わのわ会」は生まれました。そこで目を付けたのが、“地域の小さな困りごと”。主婦が短時間でもできる高齢者への「買い物代行サービス」です。今では過疎村の行政だけではカバーしきれない、高齢者や障がい者支援など、23にもおよぶ事業を展開しています。村外から人を呼ぶ“仕掛け”も生み出しました。それが「オムライス街道」です。村を貫く国道沿いの飲食店に声を掛け、それぞれの店で、地元産トマトを使ったオムライスを提供する村おこし。これまで50万食以上を売り上げ、“トマト村”として一躍全国区になりました。「過疎村の理想モデル」として、世界中から視察が相次ぎ、その数2000件。菅義偉総理大臣時代には、内閣総理大臣賞も受賞しました。。
(5月13日 テレビ朝日)

 


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)