NPO通信No.223

【NPO法人関連ニュースから:7月号】


「「ロボットで水田の雑草を抑える」

「高齢化」に悩む愛媛・西条市の里山で“カワイイ”ロボットを「相棒」に、オーガニックな米作りが始まっています。西条市丹原町川根地区にある田植えを終えたばかりの田んぼに、鳥の顔のカバーを付けてのどかに泳いで登場したのは「アイガモロボ」と呼ばれる最新技術を搭載したロボットです。「アイガモ」といえば、ヒナが泳ぎ回って雑草を食べたり、水田の底をかき混ぜたりして、雑草が根を張らないようにする有機農法の1つとして使われています、アイガモの世話や管理にかかる労力などが問題でした。しかし、アイガモロボがその課題を解決してくれるといいます。アイガモロボは、農薬や化学肥料を使わない自然栽培を進める西条市のNPO法人「きずな」と川根集落営農組合が、松山市の農業機械メーカー「井関農機」とタッグを組み、県内で初めてロボットで水田の雑草を抑える自然農法の実証実験にチャレンジしています。アイガモロボットは発電をした電気を使って、スクリューを回していきます。中央のスクリューが回転することで水流を起こし、勢いよく泥が舞い上がり、濁りができます。この濁りによって水中に太陽の光が届かず、光合成ができなくなり、雑草の成長を抑える環境を作ります。アイガモロボの動きは、専用のスマートフォンで管理します。専用のスマートフォン1台で、30アールから70アールまでの水田を苗が一定以上に成長するまでの約3週間、雑草の成長を抑えます。一方で、水深が足りない部分があると、水田の中で座礁したり、運転エリアにムラが出たりする場合があり、田植え前に土の高さを均一にする準備が必要です。
(7月18日 FNNプライムオンライン)


「プラスチックごみを固形燃料に」

海岸に漂着した、大量のプラスチックごみを原料にした固形燃料の開発を佐賀市のある企業が進めています。処分ではなく、脱炭素にも貢献する“商品化”を目指していて、新たな環境ビジネスの可能性として注目されています。NPO法人 「浜-街交流ネット唐津」がクラウドファンディングで資金調達し、2023年7月から10月にかけて、漁業者により海底に沈んだ海洋プラゴミの回収を実施し、9月からその海洋プラゴミをRPFとして再生します。RPFとは、産業廃棄物のうちリサイクルが難しいプラスチックなどを原材料とする固形燃料のことです。RPFを燃料として使うことで石炭と同程度の熱量を持ち、安価に調達でき、化石燃料を使う時よりもCO2排出を削減できるといったメリットがあります。佐賀県では年間9万4,000トン余りのプラスチックごみが捨てられているといいます。産業廃棄物の処理を行っている佐賀市の会社では、RPFを作るための施設の整備が進められています。新たに機械を導入し、9月からの稼働を目指していて、1時間あたり2トンのRPFの生産を目指します。
(7月6日 FNNプライムオンライン)


「子どもの食を支援する新たな取組み」

七夕の前日、2023年7月6日に東京・新宿御苑前のBLACKBOXスタジオで「こどもごちめし」を運営するNPO法人「Kids Future Passport(キッズ・フューチャー・パスポート)」の設立が発表されました。現在の日本のこどもを取り巻く環境は複雑です。日本の相対的貧困率は先進国の中でも高く、15.7%。これはOECD加盟国36か国の上から8番目、G7の中では2番目という高い数値です。日本の0歳〜15歳の人口、1465万人のうち、212万人のこどもが相対的貧困になっています。(※同NPO補足資料より)こどもの食を支援する取り組みとしては「こども食堂」がありますが、多くがボランティアによる運営で、開催も週1回程度と、継続性や頻度において課題がある状況と言えます。今回発表された「こどもごちめし」は、Kids Future Passportがプラットフォームとなり「こども」「地域の飲食店」「支援者」をつなぐことによって「お店の食事」を「いつでも食べられる」持続可能な仕組みを構築しています。
◆利用・参加のためのアクション
・こども:アプリに登録し、利用店舗を選択、メニューを選ぶ
・地域の飲食店:GOCHIプラットフォームに登録し、食事を提供
・支援者(個人):「こどもごちめし」Webサイトからの寄付・銀行口座への振込
・支援者(法人・自治体):アプリにロゴを表示・イベントスポンサー・食堂の展開・ふるさと納税等の使途・飲食チェーン店等の食事提供や割引 東日本大震災を機に、社会に対して何かできないかと活動を続け、Gigiというフードテックのプラットフォームを展開し、今回、その活動を「こどもごちめし」という形で拡げています。
(7月20日 Forbes JAPAN)

 


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)