NPO通信No.224

【NPO法人関連ニュースから:8月号】


「富士山測候所を守るNPO」

2023年6月に世界文化遺産の登録から10周年を迎えた富士山。その山頂・剣が峰にたたずむのが「富士山特別地域気象観測所」、かつての「富士山測候所」です。富士山測候所は、今から91年前の1932年に気象庁の前身 中央気象台が設置しました。1964年には相次ぐ台風被害を未然に防ごうと、当時の世界最高レベル・800km先まで観測できる巨大なレーダーも設置されました。遅くとも24時間前には台風の接近を探知することが可能となり、まさに国民の命を守る情報を富士山頂から観測し続けました。しかし、人工衛星など観測技術の発達に伴い1999年にその役目を終えると、2004年 測候所は常駐する職員が去り、「無人化」されました。建物を全て解体し更地にする案も出る中、測候所を残していこうと活動を続けてきた人たちがいます。NPO法人「富士山測候所を活用する会」(東京都)です。「更地にして土地を(富士山本宮浅間)神社に返したら、二度と世界文化遺産になった山で科学計測することができなくなる。今後の我々の生活にとても大事な研究が富士山頂でできるので、残していかないといけない。(放射線が)雷雲や落雷から出ることが最近わかり、これは大事件だと、新たな自然放射線源を見つけたと。アメリカは金があるから飛行機を飛ばして雷雲のそばにいく。私たちは富士山という場所を持っているからできる。これは“科学のロマン”です」と事務局長が語ります。富士山測候所を活用する会 事務局長の鴨川さんは、雷の専門家です。自身も幾度となく山頂に上り、研究を続けてきました。ただ研究にかかるコストは平地の10倍と膨大で、資金面は常に火の車だそうです。温暖化ガス、汚染物質、最近ではマイクロプラスチックまで検知し、非常に重要な結果を得ています。こういった研究の積み重ねで、やっと(把握した課題に)どう対策するかにつながります。環境の研究をすることは我々が生きるために最も必要なことで、適した場所である富士山の山頂は生かすべきと、訴えます。
(8月22日 FNNプライムオンライン)


「AED普及啓発へ、高校生がフォーラム」

心停止による突然死を防ごうと、「見つけよう!わたしの近くのAED〜高校生がつなぐ命のバトン〜フォーラム」が8月5日、茨城県水戸市泉町1丁目の市民会館で開かれ、自動体外式除細動器(AED)の普及啓発活動に取り組む高校生など約80人が意見交換しました。フォーラムには、最寄りにあるAEDの検索や経路案内などができるアプリに、身近のAEDの登録・更新を行う県内高校の生徒会や高校生会など7団体が参加、活動を報告しました。NPO法人「いばらき救命教育・AEDプロジェクト」の主催で、初めて実施されました。アプリ登録はAED管理者の許可が必要で、多くの団体から「(許可を得るため)管理者と予定を合わせるのが難しい」「管理者が誰なのか分からない」などの声が上がりました。県民への啓発メッセージも検討され、「心停止や(機器の)仕組みを知ってもらう」「人ごとじゃないと危機感を持ってもらう」などの意見を踏まえ、『突然はみんなに起こる でもAEDでみんな救える』に決まりました。県担当部署に協力も要請しました。
(8月6日 茨城新聞クロスアイ)


「19歳以下でつくる横浜のまち」

認定NPO法人「ミニシティ・プラス」(横浜市)は8月5日と6日、新高島駅構内のバンカートステーション(西区みなとみらい5)で、「こどものまち」をつくる社会体験プログラム「ミニヨコハマシティ(ミニヨコ)」を開催しました。ミニヨコは、「大人口出し禁止」を原則とし、19歳以下の子どもたちが集まり、就労や政治、都市計画など社会の仕組みを遊びながら学ぶことができる仮想の横浜の「まち」をつくる活動です。ドイツのミュンヘン市で2年に1度行われる「ミニミュンヘン」がモデルで、同種の取り組みは全国各地に広がっています。今年度、ミニヨコの運営市民の募集には、昨年を上回る応募があり、開催に向けて「こども会議」を重ねてきました。会場内では、子どもたちが考案した店舗や、銀行などの施設を設置します。子どもたちは街の中を好きに移動して楽しむことができ、ジョブセンターを通して仕事を探して働き、「ミニヨン」という独自の通貨を得て、買い物ができるほか、税金も支払います。6日には「こども市長立候補者選挙演説会」の投票も行われ、次期のミニヨコ市長が決まりました。
(8月5日 みんなの経済新聞)

 


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)