NPO通信No.229「被災地で活躍する救助犬を訓練」
能登半島地震で大きな被害が出た石川県珠洲市でNPO法人「救助犬訓練士協会」(藤沢市)の一員として、救助犬を使った捜索に当たった訓練士の大島かおりさん(59)の取材によると、余震が続く中で倒壊家屋を1軒ずつ調べる作業は安全確保が重要になるが、訓練を共にする神奈川県警との連携が現場で生きたと振り返りました。大島さんら訓練士は発災翌日の2日、救助犬7頭、獣医師とともに4台のワゴン車で出発。現地では県警がどこのエリアで捜索するのかを把握し、そこで活動を共にすることになりました。普段から訓練などを通じて県警の担当者との関係を構築しており、無料通信アプリなどで直接やりとりをしました。県警が周囲の聞き込みで倒壊家屋の世帯情報、避難状況などを確認した上で、取り残された生存者がいないかを救助犬を投入して捜索。嗅覚を頼りに1軒につき5〜10分程度の時間をかけて調べました。救助犬の知名度が高まったのは平成7年の阪神大震災でした。県内でも平成初期に県警や自衛隊などで救助犬を増強する機運が高まり、民間の訓練士との協力関係も出来上がっていったとされます。「探せ!」。1月16日午後、被災地から帰った救助犬たちは横浜市内にあるドッグスクールで訓練を重ねていました。訓練士の合図で8歳の雄、円蔵は猛ダッシュすると、3つある小屋の中から、人が入っている小屋を見事に探し当てました。世界の災害現場にも出動できる資格を持つ国内トップクラスの救助犬です。同協会は11年にNPO法人の認可を受け、同年9月に台湾で発生した地震でも出動しました。国際救助犬連盟の規定に準じた審査基準で救助犬を認定しています。 「起業支援するNPO法人」
ビーンズ赤羽テラス(北区赤羽1)に1月20日、起業・創業に取り組んでいるメンバーによる「いろどりチャレンジショップ」が一日限定で営業しました。主催はNPO法人「彩結び」です。北区と連携し「いろどりチャレンジメンバー」として起業に向けて準備中の人、起業して概ね5年以内の人を募集し、実践の場を提供する一環で行いました。いろどりチャレンジショップは3回シリーズで、今回が最後です。今回のテーマは「みんなで開運」。開運にちなんだ物販やワークショップを行ったほか、ステージ発表もありました。物販のブースでは焼き菓子にパンやシフォンケーキ、手作りカードや出張写真撮影のギフトカードなどの販売、ワークショップのコーナーでは、手のひらマッサージや結婚相談会、開運勾玉(まがたま)セラピー、勾玉おみくじなどを販売。ワークショップは、手形・足形アート、ピアノ型メッセージカード作り、粘土での雑貨作りなどもありました。特設の芝生エリアではステージ発表が行われ、ハイハイあんよレース、フラメンコと手話ダンス、ダンス、ZUMBA、オカリナ演奏、フラダンスなどが行われました。参加者に起業支援として実践の場を提供できたことに大きな意味があると振り返りました。 「残念石をトイレの柱に」
江戸幕府が大坂城を再建する際の石垣用に切り出されながら、使われなかった「残念石」と呼ばれる巨石が、2025年大阪・関西万博の会場のトイレの柱として活用されることになりました。関西の若手建築家3人が企画し、石を管理する京都府木津川市の協力を取り付けました。計画を進めるのは、滋賀や奈良で建築設計事務所を営む小林広美さん(31)、大野宏さん(31)、竹村優里佳さん(32)の3人です。42歳以下の若手建築家を対象に、万博会場の休憩所やトイレなど小規模施設20か所の設計委託者を選ぶ日本国際博覧会協会の公募に応募し、22年8月、協会から会場南西のトイレの設計を委託されました。3人は、材料を調べていた時に近畿や中四国に点在する残念石のことを知り、協力してくれる自治体を探したところ、木津川市の了承を得ることがでえきました。活用するのは、同市の木津川支流・赤田川の河原にある4個の 花崗かこう 岩(長辺2.8〜3.2メートル、重さ7.5〜13トン)です。木津川流域には、これらを含め約500個の残念石があるとされ、周辺を統治していた武将の藤堂高虎が1620年以降に近くの山から切り出したものの一部で、舟で運ばれず予備用に留め置かれたとされます。郷土学習で地元の小学生に残念石の歴史を伝える木津川市のNPO法人「ふるさと案内・かも」の副会長は「石の形がそろうように割る当時の職人の技術力の高さが感じられる。万博で多くの人に見てもらえれば、石も本望ではないか」と期待します。
(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり) |