NPO通信No.233「ドクタージェットの運航を目指して」
特定非営利活動法人「日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(NPO JCCN)」は5月22日、重症の小児患者を新潟空港から羽田空港まで医師が同乗する「ドクタージェット」で搬送しました。4月から始めた試験運航の3回目で、初めて羽田へ患者を運んだのです。少子化で小児医療施設の維持が難しくなり、小児を診察できる救急専門医が不足する中、ドクタージェットによる広域医療の実現を目指すもので、本格運航の開始は2026年を目標としています。JCCNは2022年10月27日に設立され、今月1日付で大阪府から「認定NPO法人」に認められました。搬送対象は、重症呼吸循環不全や緊急手術が必要な先天性疾患など「超重症患者」で、地方では受けられない高度先進医療を必要とする重症小児を、ドクタージェットの機内で医師が医療行為を続けながら搬送します。2017年から2022年までの5年間で、ジェット機など「固定翼機」による搬送が必要と判断された北海道を除く地域の小児患者は107人で、搬送を断念して亡くなった3件を除くと空路搬送は66件あり、このうち実際の搬送手段は航空会社などの民間機が7件、自衛隊の航空機動衛生隊が3件、ヘリコプターが35件などでした。各都道府県には、医師が同乗する「ドクターヘリ」が配備されているものの、都道府県境をまたぐ長距離搬送がヘリの航続距離や制度上の問題で適していないことや、スペースや振動、騒音などで搬送中に高度な集中治療ができず、機内で容体が悪化すると手を施せないこと、夜間や悪天候時に運航できず、重い医療機器を装着した患者を運べないなどの課題があるといいます。PICU(小児集中治療室)は現在全国19カ所にあるものの、北海道・東北・北陸にはなく、小児が少ない地域では維持出来ない上、常駐が必要な小児を診察できる救急専門医が不足していることから、諸外国と同様に広域医療体制を整備するのが現実的だといいます。JCCNによるドクタージェットの試験運用は、4月19日に初めて実施。0歳の男児を小松空港から県営名古屋空港へ搬送しました。2回目は10歳未満の女児を米子空港から神戸空港へ搬送し、3回目の今回は新潟大学病院に入院歴のある3歳未満の男児を、新潟空港から羽田空港まで搬送しました。2026年の本格運航を目指す取り組みで、当初は小児向けでスタートしますが、将来的には大人の超重症患者にも対象を広げたいといいます。
「詩人の家を保存するNPO法人」
「現代詩の母」と称される詩人永瀬清子さん(1906〜95年)の生家(岡山県赤磐市松木)で進められていた五右衛門風呂の改修工事が完了しました。NPO法人永瀬清子生家保存会が風呂釜とタイル張りの洗い場を再現。永瀬さんの暮らしに触れてもらうことで一層の顕彰につなげようと、入浴希望者を募っています。生家は江戸末期から明治初期に建てられた町家建築。保存会が前身時代から修復を始めギャラリーやカフェを整備、運営しています。来訪者から「入浴してみたい」との声が多く寄せられたため改修を企画し、クラウドファンディングや支援者からの寄付で約300万円集め、昨年末から3カ月かけて仕上げました。永瀬さんは夫や子らと戦後20年ほど生家で暮らし、風呂たきの様子を詠んだ詩もあります。入浴一つとっても一苦労だった生活の一端を体験し、当時に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
「国内初の6日間走を主催」
1人の走者が6日間走り続けて走行距離を競う、国内初の「6日間走」が20日、弘前市運動公園で始まりました。女性6人を含む青森県外の27人が参加。食事や休息を取りながら、それぞれのペースでピッチを刻み、5月26日正午のフィニッシュを目指します。PO法人スポーツエイド・ジャパン(本部・埼玉県)が主催。陸上競技場トラックと外周を合わせた1周1.25キロを周回します。途中、休憩や睡眠を取るのは自由で、県武道館の合宿所を休憩・睡眠所として使用できます。6日間走はアジア唯一。世界でも10ぐらいしかありません。海外からも選手を集めて、弘前をウルトラマラソンのメッカにしたいと弘前市出身で同法人代表は願います。
(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり) |