NPO通信No.234NPO法人で芋焼酎の生産を企画
五輪・パラリンピック選手支援のため芋焼酎の生産を企画した新潟県三条市のNPO法人が、今夏のパリ大会へ再挑戦を掲げます。市内の地名に由来する「五輪峠」。2020年開催予定だった東京大会に向け販売促進に注力したものの、新型コロナウイルス禍が立ちはだかり、当初の目的達成には至ってません。スポーツクラブの合宿誘致や棚田の再開発計画などを通じ、三条市下田地区の活性化を目指します。NPO法人「ソーシャルファームさんじょう」(SFS)が企画しました。ほとんどの販売所がある下田地区を購入目的で訪れる人を増やす狙いがあります。地元農家が育てたサツマイモを使用し、新潟県新発田市の酒造会社に製造を依頼。SFSはサツマイモの苗の仕入れや農家への配布、収穫後の運搬などを担います。2017年以降、年2千トンのサツマイモから750ミリリットル換算の瓶2千本分を製造します。とはいえ、まだ採算が取れず、スポーツ振興の寄付に回せていないのが現状です。コロナ感染拡大に伴い、東京大会は開催を1年延期。飲み会の自粛などで需要が鈍り、多くの在庫を抱えました。感染症法上の位置付けが5類へ移行した後も、猛暑や水不足で収穫量、製造量がともに例年の半分程度に落ち込みましたが、逆に五輪峠の希少価値が上がることになりました。パリ大会観戦のお供にしてほしいと、アピールします。
「ごみの島」の豊島(てしま)から24年
香川県土庄町の有人島、豊島(てしま)で発生した日本最大規模の産業廃棄物不法投棄事件をめぐり、6月6日、公害調停が成立して24年となりました。この節目の日に、認定NPO法人「瀬戸内オリーブ基金」が企画した環境学習が実施され、滋賀県の中学1年生66人が現場を訪れました。環境学習には、基金の法人サポーターである学校法人聖パウロ学園光泉カトリック中学校(滋賀県草津市)の生徒たちが参加。生徒たちは、基金が制作したYou Tube動画「すぐにわかる豊島事件」3本、計約36分を視聴しました。業者によって不法投棄で汚染され続けてきた豊島産廃事件。発端となった昭和50年の産廃処分場建設許可申請から、令和5年の産廃処理事業終了までの経緯を学びました。現地で土砂採取業者の処分場建設申請に対し、住民は反対運動を行いましたが、3年後、ミミズ養殖を名目に県が建設を許可。しかし業者は、昭和55年頃から自動車破砕くず(シュレッダーダスト)や製紙汚泥など大量の有害産廃を運び込み野焼きしました。業者への恐怖心から香川県職員は黙認状態になったとされています。平成2年、廃棄物処理法違反で兵庫県警が業者を摘発したが膨大な廃棄物は放置され、「ごみの島」とも呼ばれるようになりました。5年11月、住民は故中坊公平弁護士らの協力を得て、業者と県などに対し廃棄物の完全撤去を求める公害調停を申請。6年半後に住民と県との調停が成立しました。廃棄物は隣の直島に中間処理施設を設けて融解、無害化して工事資材などに再利用されることになりました。令和2年までに廃棄物や汚染土壌など約91万3000トンを島外に搬出。産廃特別措置法に伴う国の財政支援が終わる5年3月、県の事業は終了しました。基金では事件を風化させず同様の事件を再び起こさせないために「ゆたかなふるさと100年プロジェクト」を進めており、子供たちを対象にした環境学習を継続していく方針で希望者を募っています。
ホームレスのシェルター利用は20代が最多
住まいがなく、やむを得ずインターネットカフェなどに宿泊している人がいます。その中には、20代などの若者も…。(ホームレス状態といっても路上生活をしているとは限らず、生活困窮者の在り方は多様化しています。そんな中、「ホームレス」を支援する団体が、幅広い生活困窮者を受け入れるシェルター(宿泊施設)を2023年に設立しました。生活困窮者を支援する認定NPO法人「Homedoor(ホームドア)」は、「ホームレス状態を生み出さない」を理念に、大阪でシェルターの運営や就労支援などを行っています。シェルターとは、帰る場所がない人に無料で宿泊できる個室を提供する施設です。ホームレス状態になる理由は人それぞれですが、家庭環境のような自分では選べない要因が絡んでいたりして、自ら望んでそうなる人はいません。一度ホームレス状態に陥ると、住居や電話がないことで就職活動が難しくなり、仕事がないと住居や携帯電話を確保できないという状況になるため、自力で抜け出すのはほぼ不可能だといえます。以前は、路上生活をする高齢男性が支援対象の中心でしたが、徐々に若者や女性、親子で相談に訪れる人も増えてきました。新施設は現在すでにほぼ満床状態です。利用者は10〜60代で、20代が最多。施設内で若者向けの就労支援セミナーなども実施予定とのことです。
(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり) |