NPO通信No.241

【NPO法人関連ニュースから:1月号】


避難所生活の過酷さを体験

災害時に日常生活とは異なる環境下で様々なストレスにさらされる避難所生活。厳しい現実をどう自分のこととして考え、備えてもらうか、岡山県備前県民局は、NPO法人や自衛隊などと連携し、一般人が参加する避難所運営体験「防災研修キャンプ」を実施しました。企画運営は実際に被災地で活動する民間団体が担い、実際の避難生活に近い状況を経験できるのが特徴です。研修プログラムは市の避難所運営マニュアルを参考に考えました。2024年11月23日午前10時52分、南海トラフを震源とする地震があり、震度6強を観測。上下水道の機能が停止し、ペット連れや車椅子が必要な障害者など様々な事情を抱えた避難者が、指定避難所である玉野市の市立荘内中学校の体育館に訪れていると想定しました。最低気温が6・9度となったこの日、体育館にはエアコン設備はなく、用意された段ボールベッドの材料は15人分で、参加者の多くが冷たい床に毛布を敷いて寝る必要がありました。常設のトイレの使用も禁止し、段ボールと袋で手作りした災害用トイレしか使えないルールも設けました。自衛隊日本原駐屯地による夕食の炊き出しも実施しました。段ボールベッドの分配では、独身男性が率先して家族連れに譲るなどしてスムーズに決まった一方、洗濯物については、「男女の洗濯物をわけて干し、下着類は人目につかない奥の方に干した方がいいのでは」「自分の洗濯物が他人のものと一緒になるのが嫌だという意見もある。家族の洗濯物で固めた方がいいのでは」などと議論が交わされました。真庭市の栄養士の女性(60)は「1日だから耐えることができたが、避難所生活の過酷さは想像以上で、備えの必要性を改めて実感した。大変だったけど、とても学びになった」と話しました。自治体の防災研修の多くは、部屋の冷暖房が利いているなど、被災地の状況とはかけ離れた環境下で実施されることが多く、本格的なプログラムの必要性を感じたことが、この研修を始めたきっかけといいます。
(1月20日 読売新聞)


お互いさまチケットの利用増える

七尾が舞台の漫画「君は放課後インソムニア(君ソム)」の聖地として知られ、現在は仮設商店街で営業する喫茶店「中央茶廊」で、来店客が別の客の代金を前払いする「お互いさまチケット」の利用が増えています。住民が全国から駆け付けたボランティアに感謝したり、ファンが被災者支援で購入したりと、2カ月余で約150人が利用しました。「善意のバトン」は、能登半島地震で半壊した店の再建を目指す店主の背中を押しています。チケットは300円、500円、700円の3種類。購入者が「ボランティアありがとう」「ホットケーキまんで美味(おい)しいよ」などのメッセージを添えて店内の木製ボードに貼り、その後に来店した人がコーヒーなどの飲食代金に充てています。この仕組みは、福島市のNPO法人「チームふくしま」が普及を進めています。受けた善意をその先につなぐ「恩送り」の思いが込められ、全国で導入する飲食店などが増えています。
(1月19日 北國新聞)


雪下ろしのノウハウをカルタで

雪かきや雪下ろしの知識を遊びながら学べるカルタを新潟県長岡市のNPO法人「中越防災フロンティア」が製品化し、1月14日、計500セットを市に寄贈しました。市内の小中学校に配布される予定です。市内の道の駅などでの販売も予定しています。「あ」から「ん」まで計46枚の読み札は、「あつ着して 大汗かいて カゼひいて」「くう洞は 家の周りに 隠れてる」「その先は 屋根か雪ぴか 確かめて」など五七五の形式で、安全で快適な作業につながる知識を紹介しています。全国で152人が死亡した06年の「平成18年豪雪」を受け、除雪中の事故を防ごうと2007年に発足した市民団体「越後雪かき道場」が、「ユキカキカルタ」の名称で、冊子の「指南書」とともに考案しました。カルタは2000セット制作し、うち500セットを小中学校やコミュニティーセンターなどに配布します。
(1月16日 読売新聞)

 


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)