NPO通信No.242

【NPO法人関連ニュースから:2月号】


「まちの本屋」を支えるNPO法人

本離れやネット書店の台頭などを背景に、山陰でも「まちの本屋」が苦境に立たされています。こうしたなか、鳥取・境港市で、小さな本屋をめぐる「街歩き」を通じて、書店の役割について考えるイベントが開かれました。「街歩きを皆さんで楽しんでいただきたい」とNPO法人「本の学校」(米子市)が呼びかけ、2月9日、境港市役所近くのカフェ「カナリヤコーヒー」に次々と人が集まりました。そして、鳥取県西部を中心に集まった約30人が、境港市内に点在する小さな本屋や本を扱う店を巡りました。境港市では2024年6月、35年間に渡り市民に親しまれた書店が閉店しました。山陰両県でも3割前後の市町村で書店がなくなるなど、「まちの本屋」の苦境がつづくなか、本を通じて豊かな地域づくりに取り組むNPO法人「本の学校」(米子市)が、このイベントを企画しました。雪の中、到着したのは、観光スポットの「水木しげる記念館」からほど近い「一月と六月」という小さな店です。空き店舗を改装して、2008年にオープンした本と衣服、雑貨のセレクトショップです。店内には、食器などの雑貨といっしょに、店主が選んだこだわりの本が所狭しと並んでいます。大正時代から60年ほど前まで使われていた醤油店のこうじ蔵をリノベーションした「cafeマルマス」や古い長屋をリノベーションした「豆ひとつぶ」では、レシピ本や食などをテーマにした本も陳列され、商品と一緒に購入することができます。その隣には、ギャラリーやイベントスペースとしても使われる「小僧文庫」。本棚には「手放したくはないけど、誰かに読んでほしい」と、店主やその友人たちが持ち寄った約100冊が並びます。本があることで人がつながる…、境港市で見た「小さな本屋」は、これからの「まちの本屋」の一つの姿を示しているのかもしれません。
(2月18日 FNNプライムオンライン)


子どもに限定しない「大人食堂」も

子供たちに食事や居場所を提供する「こども食堂」ですが、こうした場所を必要とするのは子供だけではありません。長引く物価高などの影響で生活が苦しい人たちを対象にした「大人食堂」という取り組みが仙台市内で開かれました。2月16日、仙台市中心部で生活に困っている人たちに無料で料理を振る舞う「大人食堂」が、5年ぶりに開かれました。企画したのは仙台市のNPO法人です。調理は外国人留学生やボランティアなどが協力。最近は外国人からの相談が増えていることから、インドネシアの料理など7種類のメニューが用意されました。誰一人取り残されない社会の実現のため。主催したNPO法人では今後もこうした活動を続けていきたいとしています。
(2月18日 仙台放送)


高齢者だけじゃない孤独死のリスク

孤独死を防ぐ活動を続けるNPO法人が提供している見守りサービスの利用者が急増しています。10〜50代は5年前の14倍に。専門家は、現役世代は高齢者にはない孤独死のリスクがあると指摘しています。サービスを提供しているのは東京都江戸川区のNPO法人「エンリッチ」で、次のような仕組みです。利用者が決めた頻度で「お元気ですか」とLINEでメッセージを届けます。利用者は「OK」ボタンをタップして返答しますが、その後も反応がない場合、本人に直接電話をしたり近親者に知らせたりします。安否確認を続けることで、死亡者を早期に発見する狙いがあります。きっかけは、代表理事の紺野功さん(65)が10年前、弟(当時51)を孤独死で亡くしたことです。2018年11月からこのサービスを始めました。利用者は19年に延べ622人でしたが、24年には1万3836人と急増。年齢を登録する6776人(24年)のうち、10〜50代は4378人で6割超でした。19年の10〜50代の利用者数は303人で、24年までに14倍になりました。若い世代の利用者が増えていることについて、近隣や職場での人間関係の希薄さや、頼れる人が少なく孤立した状態にあることが背景にあるとみます。警察庁が昨年8月に発表した集計では、全国で昨年1〜6月に自宅で一人で死亡した「孤独死」は3万7227人。このうち15〜64歳の「現役世代」は8826人で約24%を占めました。
(2月9日 朝日新聞)

 


(NPO会計税務研究協会 事務局 金森ゆかり)